不動産投資家向けに大家が知っておくとお得な情報を掲載します。関口は25歳から不動産投資を始めましたが、税金と融資付けには当初から苦労させられました。まだ不動産投資家歴10年ほどではありますが、そのノウハウを共有できれば幸いです。

不動産投資家が使える補助金関連

持続化補助金

2021年12月6日追記:令和3年度補正予算案が公開され、2022年度も通常枠(補助上限額50万円)の他に特別枠(補助上限額200万円・100万円、補助率2/3~3/4)が創設されることが明らかになりました。但し、特別枠の申請類型から判断すると不動産保有法人では特別枠の敷居は高くなっているように感じます。

持続化補助金コロナ特別対応型は2020年10月2日締切の第4回受付が最終締切でしたが、第5回受付(締切2020年12月10日)が新設されました。第5回が最終になるとのことです。

「持続化補助金コロナ特別対応型」は販路拡大等に係る投資額の4分の3(又は3分の2)を国が補助してくれる補助金(札幌市の場合、追加で12分の1を札幌市が補助してくれます)となります。詳細は下記記事をご参照ください。

コロナ特別対応型に申請するためには、投資額の1/6以上を「サプライチェーンの毀損への対応」、「非対面型ビジネスモデルへの転換」、「テレワーク環境の整備」のいずれか一つ以上の投資に取り組む必要があります。

不動産投資家の場合、基本的には「非対面型ビジネスモデルへの転換」を選択することになると思われます。「非対面型ビジネスモデルへの転換」に関する投資内容を難しく考える方が多いですが、例えば遠隔操作で物件のカギの施錠・開錠ができるスマートロックを活用した無人内覧でも大丈夫です。不動産会社の担当者の立ち合い不要で、内覧者のみで物件の内覧ができるため、このコロナ下では一定のニーズが見込めます。

若い世代にとってはスマートフォンを持っているだけで、家から出れば自動でドアがロックされ、帰ってきたときは自動でロック解除される機能も魅力的です。物件の差別化のためにも、是非ご活用ください。

その他補助金・支援金について

2021年12月6日追記:持続化給付金の後継となる「事業復活支援金」の内容を中小企業庁が公開しました。コロナの影響により売上変動が著しい不動産保有法人は下記記事をご参照ください。

金融機関関連

銀行評価が高くなる決算書作成

銀行は法人を信用格付によって評価し、信用格付は法人の決算書の数字により決定されます。決算書の数字はどの税理士に依頼しても同じになると考えられる方がいますが、それは違います。
役員借入金や預り資金を流動資産ではなく固定資産に計上する、倒産防止共済の掛金は経費ではなく資産計上する、などの銀行評価を高くする決算書作成を怠っている決算書をよく拝見します
できる対策をしないで銀行評価を下げている決算書を見ると、事業規模の拡大や借入利率の交渉などで不利になっているな、と大変残念に感じます。

銀行評価が高くなる決算書を作成し、有利な条件で金融機関と交渉したい不動産投資家の方は、下記記事をご参照ください。

金利交渉について

不動産投資の成功の可否を決定する要素の一つに金利を低くすることが挙げられます。借入時に低金利であるのことが一番ですが、借入後であっても金利を低くすることは可能です。1億円の借入金の金利が1%下がるだけで、年間キャッシュフローが100万円増加するため、経営上のインパクトは大きいです。金利交渉については是非下記記事をご参照ください。

コロナ融資の活用について

2021年12月6日追記:2022年3月末日までコロナ融資の申請期間が延長されました。

要件に合致すれば3年間無利息で運転資金を確保することができるコロナ融資の活用をおすすめしています。ご興味ある方は下記記事を参考にしてください。

不動産は個人保有がいいか、法人保有がいいか

不動産を個人で保有したほうがいいのか、法人で保有したほうがいいのか、は不動産投資家であれば一度は考えたことのあるテーマです。 ただ、結論としては、前提条件を踏まえてちゃんと計算してみないと分からない、です。

所得税(譲渡所得含む)・住民税・相続税・法人税、そして社会保険料を踏まえて考える必要があり、さらに、法人と個人ではできる節税策が異なるため、それも踏まえる必要があります。不動産税務に精通していない方だと正確にシミュレーションするのは難しいでしょう。
※個人or法人のシミュレーション相談は「お問合せフォーム」からお願いします。

しかし、消費税還付が封じ込められた今、売上1000万円(年)に満たない規模で運営し続ける分には、法人よりも個人のほうがいい有利なケースが多いと感じています。逆に、売上1000万円(年)以上となるケースでは、法人保有にしたほうが有利になるケースが多くなります。 ですので、売上1000万円(年)に近づいてから、不動産税務に精通している税理士にシミュレーション作成を依頼するのがいいと思われます。

不動産法人の活用方法

  1. 管理委託方式

    資産管理法人を設立して、その法人が個人が保有している不動産の管理を行い、個人から管理料を徴収する方式です。管理料は賃貸収入額の5~10%で設定するのが一般的です。

  2. サブリース方式

    不動産を保有している個人と不動産管理会社との間で一括借上げの契約を締結する方式です。

  3. 不動産保有法人

    資産管理会社が直接不動産を保有する方式です。最も節税効果が高い方式となります。
    元々個人が保有していた不動産を不動産保有法人に売却する場合、法人へは建物だけを売却し、土地については無償で法人へ貸し付けるやり方を取ると無駄な出費を防げます。
    ※借地権の認定課税を防ぐために「土地の無償返還に関する届出書」を忘れずに提出しましょう。

不動産保有法人のメリット(個人所有との比較)

不動産保有法人のデメリット

  • 申告を税理士に依頼する必要があり申告料が発生する
  • 税務調査が入る可能性が個人より高くなる
  • 赤字の事業年度でも均等割額(一般的に7万円)の納税が発生する

消費税還付とは

2020年10月1日以降に譲渡される居住用建物に係る消費税還付は原則的に封じ込められました(2020年3月31日以前に請負契約等を交わしている取引を除く)。 しかし、テナントやホテル仕様の建物、太陽光発電等については、建物引き渡し時に消費税の課税事業者であれば、これまで通り消費税還付を行うことができます。

消費税還付の基本的な考え方等を知りたい方は下記記事をご参照ください。

税金等の対策について

不動産投資を行う上で、税金の問題は避けて通れません。投資は自己責任となりますので、適切な節税等により自社のキャッシュフローを高めるための取組は必須となります。ここでは「節税対策」と「課税の繰延」について触れます。無駄な支出をすることによる税金の減額ではなく、キャッシュを高めるための節税対策をご検討ください。

節税対策をする

ここでは主に不動産法人が取り組むことができる節税等の内容をご紹介いたします。特に最初の内容は基本中の基本ですが、実際にしっかり取り組んでいないケースが多い内容となります。

課税の繰延をする

課税の繰延は長期で考えた場合の納税額を減らす効果はなく、その年の納税額を減らすだけです。特に倒産防止共済と保険については入金時の出口戦略を考えた上で加入するようお気を付けください。課税の繰延の考え方については、下記記事を参照ください。

課税の繰延を検討される際は、「短期前払費用の特例」の記事も参照下さい。