新卒時から6年間お世話になった会社では当然のように旅費規程があり、出張時には日当が支払われました。日当は支払った法人側では経費となり、受け取った社員側では非課税所得となる驚きの処理方法が認められています。個人の財布と法人の財布との区別が曖昧な小規模法人の社長にとっては夢のような仕組みですが、日当自体をご存じでない社長が多いイメージです。今回はそんな旅費規程を利用した節税方法について解説します。

出張手当は非課税

 出張に伴う交通費・宿泊費、日当は所得税法第9条1項の規定により非課税所得となっています。日当とは、出張をすることにより普段の生活では発生しない社員の外食代等の余分な支出を会社が一律支給してあげるというものです。日当1万円に対して実際には1千円しか使用していなくても、差額9千円に対して所得税がかかることはありません。宿泊費についても同様のことが言えます。

 この仕組みを上手く使い、出張旅費の支給額と実際消費額との差額が年間80万円あった場合、80万円の非課税所得が作れたことになります。税率30%で考えた場合24万円の節税となります。

非課税所得と認められるためには

 出張旅費を非課税所得とするためには最低限下記内容は実施するべきです。

  • 旅費規程を作成する
  • 旅費規程を株主総会で承認する
  • 規定通りの金額を支給する
  • 交通費・宿泊費等の領収書を添付した旅費精算書を会社へ提出する

 一律支給である場合宿泊費の領収書を添付する必要はないように感じられるかもしれませんが、カラ出張を疑われないためにもわかるようにしておきましょう。一律支給額と実際発生額に差額があっても特に問題にはなりません。

金額について

旅費規程では日当・宿泊費・交通費を定めます。金額に決まりはありませんが、無制限に認められるわけではなく、下記のような制限があります。

  • その支給額がその法人の階級ごとに適正なバランスが保たれているか
  • その支給額が同業種・同規模の法人の一般的な支給額と照らして相当であるか

    ※所得税法基本通達9-3参照

 ですので、この記事が対象としている中小企業で、例えば日当が1日5万円というのは同規模法人と比較した上で適当であるとは言えない気がします。かといって中小企業は日当が数千円でなければおかしいというものでもありません。この辺りの金額については明確な決まりがないことから同規模の法人に精通しているだろう税理士と相談した上で決めるほうが無難です。

 旅費規程を利用した節税策は手軽にできるため出張が多い法人では是非検討してみてください。ただし、この規定の背景には実費精算の手間を省くという内容があるため、その背景からかけ離れた内容は否認されるリスクがあることも肝に銘じておきましょう。