札幌で開業、起業する方、小規模事業者・小規模法人(売上3億円以下)の経営者向けに関口達也税理士事務所が考えるキャッシュフロー最大化のための取組をご説明します。キャッシュフローの考え方といった基本から始め、補助金や経営力強化税制による税額控除、効果的な節税等の策までご紹介します。きっと役立つ情報があるので、最後までご覧ください。

キャッシュフロー最大化とは

このHP上におけるキャッシュフロー最大化について

一般的にキャッシュフローとはその企業の一定期間における現預金の出入りのことを指します。ただ、関口達也税理士事務所が対象としているお客様は小規模事業者、小規模法人であり、事業用の現預金と経営者個人の現預金を区分せずに、公私の現預金の合計額が長期間で一番大きくなる方法を考えるほうが経営者のニーズに合致しています。そのため、このHPではキャッシュフローの最大化の取組を事業用と経営者のプライベートな現預金の合計額を長期間で一番高める方法とし、考えていきます。

キャッシュフローを最大化する方法とは

キャッシュフローを最大化するための方法は大きく2つに分解できます。

  1. 収入を増やす
  2. 支出を減らす

次の章から順に「①収入を増やす」方法、「②支出を減らす」方法を見てきます。 短期的なキャッシュフローだけを考えた場合、「①収入を増やす方法」として売掛金(売上のお金)の回収を速くすること、「②支出を減らす方法」として買掛金(請求されているお金)の支払いを遅くすることがありますが、長期で考えた場合には効果がないので説明は割愛します。

「①収入を増やす」方法

収入を増やすための第一の方法は売上を増加させることですが、その企業の売上を増加させる方法は税理士よりその会社の経営者のほうがはるかに詳しいと思います。ですので、以下では別の内容を記載します。

補助金・助成金・給付金を活用する

補助金・助成金・給付金は要件に該当すれば受け取ることができ、受け取ったお金は返金する必要がありません。ただし、勝手に振り込まれるものではなく、自分で申請する必要があり、かつ多くの補助金・助成金は要件を満たすために事前に準備が必要です。その存在を知らなければそもそも申請することもできないため、こまめにチェックするか、補助金関連に詳しい税理士と親しくしておきましょう。

「創業融資・補助金・助成金について」で一通り内容をご説明しています。従業員を雇う場合には「キャリアアップ助成金」、設備に投資する場合には「ものづくり助成金」か「IT導入補助金」、販促活動のためには「小規模事業者持続化補助金」の活用をご検討ください。

2020年6月1日追記:コロナ対策としての補助金・給付金・支援金が日々増えています。札幌市の小規模事業者・小規模法人が使えそうなものを随時アップしているので、「コロナ給付金等」をチェックして、コロナ不況を乗り切りましょう。

「②支出を減らす」方法

金利を低くする

借り入れをする際に、経営力向上計画が認定されていると日本政策金融公庫から低利率で融資が受けられることをご存じでしょうか?設備資金のための融資の場合、基準利率よりも0.9%引き下げを受けられます。1000万円の融資を受ける場合だと初年度だけで利息金額が9万円変わってくるのでお勧めです。

この優遇措置は中小企業等経営強化法に基づく支援措置で、後でご説明する設備取得時の税額控除にも関係します。経営力向上計画の認定を受けるためには一般的に顧問税理士の協力が必要で、融資優遇のためには日本政策金融公庫に事前の相談も必要になります。是非「中小企業経営強化法による税制措置・金融支援について」を参照ください。

役員賞与により社会保険料を削減する

給料に対する社会保険料の負担額は個人・法人合わせて約30%になります。100万円の役員報酬の場合、30万円の支払いが発生し、かなり負担額が大きいです。「役員賞与を利用した社会保険料削減策」を利用すれば合法的に社会保険料に係る支出を大幅削減できる可能性があるため、知っておいてください。現状月100万円の役員報酬の場合、年間200万円近くの社会保険料削減効果があるかもしれません。

税額控除により税金を少なくする

法人税額のざっくりした計算イメージは、売上から費用を差し引きした所得金額に法人税率を乗じることにより求めますが、実際に支払う法人税額はここから税額控除の金額を差し引きした金額となります。

納付すべき法人税額の計算イメージ

売上▲費用=所得金額
⇒所得金額×法人税率=法人税額
⇒法人税額▲税額控除=納付すべき法人税額

具体例

売上1500万円▲費用1000万円=所得金額500万円
⇒所得金額500万円×法人税率20%=法人税額100万円
⇒法人税額100万円▲税額控除20万円(例.所得拡大促進税制)=納付すべき法人税額80万円

ですので、納税額を少なくするために税額控除は効果的となります。この記事が対象とする小規模事業者・小規模法人の経営者の方は、従業員の賃金上昇額に応じて受けられる「所得拡大促進税制」と設備投資をする際に受けられる「経営力強化税制」は知っておいてください。特に「経営力強化税制」は事前準備が必要になり、一般的に顧問税理士の協力が必要になるので注意してください。

節税により税金を少なくする

節税により納税額を少なくする方法も考える必要があります。効果的な節税方法は下記方策だと思われます。

  • 社宅制度を活用する

    法人名義で住宅を借り、それを法人から経営者・従業員に20~50%ほどの家賃で貸し付けることができます。この場合、法人が支払う家賃と経営者・従業員が支払う家賃との差額50~80%分は経営者・従業員の非課税所得となるため、節税効果があります。詳しい仕組みと家賃の算定は「社宅を利用した節税」を参照ください。

  • 旅費規程を活用する

    旅費規程を作成するなど一定の手続きを踏めば、出張の際に日当を支給することができます。日当は非課税所得となるため、節税効果があります。詳細は「旅費規程を利用した節税」を参照ください。

  • iDeCoを活用する

    iDeCoはサラリーマン(経営者も含む)ができる数少ない節税対策となります。毎月一定額を拠出することにより、所得控除を受けることができます。拠出した金額はそのまま資産運用でき、60歳以降で受け取ることができます。詳細は「サラリーマンができる節税策iDeCo」を参照ください。

  • 小規模企業共済を活用する

    小規模企業共済は経営者ができる節税策になります。iDeCo同様、毎月一定額を拠出することにより、所得控除を受けることができます。詳細は「小規模企業共済について」を参照ください。

  • 退職所得を利用する

    退職金は所得税・住民税において非常に優遇されており、長期的な節税方法を考える上では欠かすことができません。詳細は「複数の退職所得を利用した節税策」を参照ください。

2020年6月26日追記:細かい節税内容になりますが、「忘年会、社員旅行を福利厚生へ」「非課税所得である通勤手当について」も参考にしてください。いかに無駄ではない支出(日常の出費)を合法的に費用化するかという観点も重要になってきますので。

倒産防止共済や保険の活用は長期的なキャッシュフローには影響のない課税の繰延にすぎないため、上記には記載していません。ただ、その事業年度のみの所得を減額したい場合には有効なので、状況によっては活用を考えてみてください。