整骨院・治療院の税金はどう変わる?個人事業と法人の違いを徹底比較

札幌で整骨院や治療院を経営している方の中には、「そろそろ法人化を考えた方がいいのかな?」という方も多いのではないでしょうか。
実際、札幌市内でも法人化(法人成り)をする治療院や整体院が増えています。しかし、法人化にはメリットだけでなく、税金・社会保険・経理などの負担増も伴います。

この記事では、税理士の立場から「整骨院・治療院の税金はどう変わるのか」を、初心者にもわかりやすく解説します。
札幌で整骨院・接骨院・鍼灸院・整体院・カイロプラクティック・訪問マッサージなどを経営する方は、ぜひ参考にしてください。


1.個人事業と法人の違いを理解しよう

まずは、整骨院や治療院を運営する際の「個人事業」と「法人」の基本的な違いを押さえておきましょう。

項目個人事業(整骨院・治療院)法人(株式会社・合同会社など)
税金の種類所得税・住民税法人税・法人住民税・法人事業税
税率累進課税(5〜45%)中小法人は約23%(利益800万円超部分は約34%)
社会保険国民健康保険・国民年金健康保険・厚生年金(会社負担あり)
経費業務関連支出役員報酬・その他法人特有の経費あり
信用力個人名義中心法人名義で融資・取引に有利

札幌では個人で開業している整骨院や鍼灸院が多いですが、年商が大きくなってくると法人化による節税や信用力アップが効果を発揮します。


2.個人事業の税金の仕組み

個人事業の整骨院や整体院では、得た利益(売上−経費)に対して「所得税」と「住民税」が課税されます。税率は所得が高いほど上がる「累進課税」です。
※正確には上記「所得」から「所得控除額」(基礎控除額や社会保険料控除額など)を引いた金額が所得税の計算の基になる「課税所得」となります。

税率のイメージ(所得税+住民税)

  • 課税所得300万円:税率20%前後
  • 課税所得600万円:税率30%前後
  • 課税所得1,000万円超:税率43%~

つまり、札幌で整骨院を運営していて年収が高くなるほど、税金の負担も増えていきます。

また、国民健康保険や国民年金は所得に比例して増えるため、税金と合わせると実質の手取りが減少することも珍しくありません。
特に国民健康保険料は高額になりやすく、札幌市在住の1人世帯・所得600万円だと年間約76万円の保険料となります。さらに国民年金も加入必須で年間約21万円/人です
高額な社会保険料を何とかしたいと考える個人事業主の方は「マイクロ法人設立」も検討してみましょう。


3.法人の税金の仕組み

法人化すると、整骨院や治療院の利益に対して「法人税」などが課されます。
中小企業(資本金1億円以下)の法人税率は以下のようになります。

  • 所得800万円以下:法人税率約23.4%
  • 所得800万円超:法人税率約34%
    ※上記は法人税・法人道民税・法人市民税を合算した税率となります

個人事業のように累進税率ではなく一定税率なので、所得が多い場合ほど税負担を抑えやすくなります。
また、役員報酬や法人特有の節税策を活用することにより、所得をコントロールしやすいのも特徴です。

法人化の具体的なシミュレーション(札幌市の場合)

たとえば、整骨院の年間利益が600万円ある場合:

  • 個人事業:所得税・住民税・国保等で約180万円
  • 法人化後:法人税等で約130万円+社会保険料(約100万円)

トータルでは大きく変わらないように見えますが、法人は経費化できる範囲が広く、将来の節税効果を見込めるのがポイントです。


4.法人化のメリット

① 税率が一定で高所得ほど有利

個人事業は所得が上がるほど税率が上昇しますが、法人は一定税率。
札幌で売上が安定し、柔道整復師や整体師として年収が高くなってきた段階では法人化が有利に働くケースがあります。

② 経費にできる範囲が広がる

法人になると、役員報酬、社宅活用(自宅家賃の50~80%を経費計上可能)旅費日当、社用車、福利厚生費、退職金なども経費として計上できます。
たとえば札幌市内の鍼灸院や整体院では、テナントとは異なる代表者のご自宅の家賃を経費計上したり、社用車とした100%減価償却するなどの処理をするケースが多いです。
役員賞与を活用した社会保険料削減策を活用するケースも増えてきています。

③ 家族への給与で所得分散が可能

ご夫婦で整骨院や訪問マッサージを運営している場合、家族を役員や従業員にして給与を支払うことで、所得を分散できます。結果的に税率を下げることができるのです。

④ 信用力・融資に強くなる

札幌の金融機関では、法人の方が融資審査が通りやすい傾向があります。
事業拡大や店舗リニューアルを検討する際には法人化の方が有利です。


5.法人化のデメリット・注意点

① 社会保険の負担増

法人になると、経営者も社会保険(健康保険・厚生年金)に加入しなければなりません。
個人事業では国民健康保険・国民年金だけでしたが、法人化後は「会社」と「個人」で折半負担になります。

たとえば役員報酬を40万円に設定すると、月12万円前後の社会保険料負担が発生します。
※この高額な社会保険料の負担額を抑えるために役員賞与を活用した社会保険料削減策の活用を検討する必要があります

② 会計・税務の手続きが増える

法人化すると決算書の作成や法人税の申告が必要になります。
整骨院や鍼灸院では、経費の種類が多くなるため、税理士と連携して正確に処理することが大切です。

③ 維持コストがかかる

  • 法人設立費用:約10万円〜
  • 札幌市の法人住民税均等割:年間7万円
  • 顧問税理士費用:年間30〜50万円

法人化は節税効果がある一方で、これらの固定費が発生する点も理解しておきましょう。


6.札幌の整骨院・治療院が法人化を検討すべきタイミング

次のような状況に当てはまる場合、法人化を検討する価値があります。

  • 年間所得が500万円〜1,000万円を超えてきた
  • 従業員を雇っている、または採用を検討している
  • 訪問マッサージ・整体・鍼灸院など複数事業を運営している
  • 札幌市内で2店舗目を開業する予定がある
  • 融資・補助金を利用して事業を拡大したい

これらに当てはまる場合、法人化によって税金面だけでなく、経営上のメリットも得られます。


7.札幌で活用できる支援制度・補助金

札幌市では、整骨院・治療院など中小企業の法人化を支援する制度があります。

これらを活用すれば、法人設立費用や設備投資の一部を補助してもらえる場合があります。
法人化を考える際は、税理士とともに補助金制度もチェックしておくと良いでしょう。


8.整骨院・治療院の法人化を成功させるポイント

  • 法人化の目的を「節税」だけにせず、経営拡大も見据える
  • 社会保険や税務負担をシミュレーションしておく
  • 札幌市や北海道の補助金・助成制度を活用する
  • 税理士に相談し、報酬設定・経費計上の最適化を行う

整骨院・鍼灸院・整体院・カイロプラクティックなど、いずれの業種でも「経営ステージの転換点」が法人化のタイミングです。
札幌で法人化を成功させるためには、地域事情と税務知識の両面からサポートできる税理士の存在が欠かせません。


9.まとめ:税金の違いを理解して「最適な形」を選ぼう

整骨院・治療院の法人化には、税金・社会保険・信用力など多くの要素が関係します。
札幌で安定した経営を目指すなら、単なる節税だけでなく「長期的な事業設計」として法人化を検討するのがポイントです。

  • 税率は個人より法人の方が一定で有利になることが多い
  • 経費計上の幅が広がり、柔軟な経営が可能に
  • 社会保険料負担や手続きの煩雑さも考慮する必要がある

法人化は「税金を減らす手段」ではなく、「経営を次の段階へ進めるステップ」です。
札幌で整骨院・治療院の法人化をお考えの方は、ぜひ専門の税理士にご相談ください。

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