月々の経理がある程度できるようになり、年間の納税予測額を自分でざっくり計算したい個人事業主向けの記事となります。

 Giraffeは顧問先へ毎月試算表や推移レポートの他に年間納税予測表や資金繰り表を提出しています。試算表や推移レポートがあくまでも過去の分析であるのに対し、年間納税予測表や資金繰り表は将来の予測となるため、後者の方に重きを置いています。納税額の予測は今後の資金繰りに直結します。Excelで算式を組めば簡単に把握することができるため、個人事業主の方は是非毎月1回は現時点の納税予測額を把握しましょう。

所得税(概算額)の算出方法

 納税予測表の所得税(概算額)は、 

   ①所得金額▲②所得から差し引かれる金額)×③税率▲控除額

で求めます。

所得金額

 会計ソフトからエクスポートした月次損益推移表の数字を利用します。未経過期間については前年実績があれば前年度の数値に伸び率を乗じ、なければ季節変動を加味した予測数値を使います。毎年一度数値入力すれば、あとは経過期間の推移表を張り付けるだけです。あまり神経質に細かく考えないことがコツです。あくまでも所得税の概算予測額を把握し、翌年の所得税納税に備えるためなので。

所得から差し引かれる金額

 確定申告書をみればわかりますが、所得から差し引かれる金額は色々と区分があります。前年度の確定申告書から今期の予測額をいれることが多いですが、10万円以下の小さな金額は省略してもいいと思います。下記金額を概算入力すれば所得税計算はそこまでずれないのではないでしょうか。

  • 社会保険料控除額
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 配偶者控除
  • 基礎控除

税率▲控除額

 税額の計算を毎回手計算すると大変です。ExcelのVLOOKUP関数を使えば累進課税の税率計算も自動で計算することができます。

 VLOOKUP関数では検索方法でFALSEを使うことが一般的ですが、検索値の範囲を「~未満」に設定したい場合はTRUEを使用します。税率表を作成し、上記算式を組むことで税率と控除額を自動計算し所得税の概算予測額を算出できます。Giraffeが実際にお客様に提出する際はもちろん税率表を非表示にします。

 住民税の課税所得金額は実際には所得税とは異なりますが、概算額の算定なので、毎月の確認時には10%を乗じるだけでいいと思います。

 これで所得税と住民税の予測額が毎月簡単に算出できます。

 納税予測表はその他にも予定納税分や固定資産税、消費税を反映させることで、どの時期にいくらのお金が必要かを把握するのに役立ちます。個人事業主毎に理想の表が異なってきますが、毎年一度形式を整えれば、あとは会計ソフトからエクスポートしたデータを張り付けるだけで納税額等を予測することができますので、是非チャレンジしてみてください。表の作成方法で一度相談したいとう方はGiraffeまでお問合せ下さい。単発のコンサル業務もお受けいたします。