ある程度売上が増加し、法人成りしたほうがキャッシュフローが改善するのか検討している個人事業主向けの記事となります。

 ある程度売上が増加した個人事業主の方から、法人成りしたほうがいいかというお問い合わせを受けることがあります。法人成りの是非については所得税・住民税・法人税の比較のみならず、社会保険の絡みもでてくるため算定が複雑で、基本的には売上・経費・所得の予想額を基にした比較表を作成することになります。そして、その本格検討をするタイミングは下記の場合を一つの目安にしていただければと思います。

■消費税の課税事業者となるタイミング

■課税所得が500万円を超えるタイミング

消費税の課税事業者となるタイミング

 個人事業主の場合、前々年度の課税売上が1000万円を超えると消費税の課税事業者となります。しかし、開業した事業者は前々事業年度がないため、基本的には2事業年度(※例外あり)について消費税の免税事業者となります。これは法人についても同様で、個人事業主で免税期間を2事業年度とり、さらに法人成りすることにより2事業年度消費税の免税事業者となることができます。

 当然、課税売上が大きいほど消費税の免税事業者となるメリットが大きいため、ある程度の規模になってから法人成りしてもよいですが、個人事業主が消費税の課税事業者となるタイミングで一度法人成りを検討されることをおすすめいたします。

※消費税の課税事業者の判定はやや難解です。第1事業年度の上半期の課税売上が1000万円を超え、かつ支払給与額が1000万円を超える場合は第2事業年度であっても消費税の課税事業者となるためご注意ください。法人の場合は事業年度変更により免税期間を長くすることもできますが、ここまでくると税理士に相談されたほうが無難だと思われます。

課税所得が500万円を超えるタイミング

 所得税は累進課税となっており所得が高くなるにつれ税率が増します。課税所得が330万円を超えると所得税率は20%となり、住民税10%が加算され合計30%の税負担となります。法人税は国だけでなく都道府県と市町村の税率もありますが、利益800万円以下の場合、概算税率が約23%であることを考えると、課税所得が330万円を超えると法人のほうがメリットがでそうですが、法人固有の支出も発生するため、経験則にはなりますが課税所得500万円を超えた段階で法人成りのメリットがでるケースが多いです。

 下記の条件に合致すれば法人で可能な大きな節税等の手段があります。詳細は「節税・課税の繰延」カテゴリーを参照頂ければと思いますが、個人事業主ではできない大きな節税等の手段が法人にはあるのも事実なので、条件に合致する場合は早めに法人成りをシミュレーションしてみてもいいかもしれません。

  • 賃貸物件に居住している → 社宅制度による経費の上乗せ
  • 出張が多い → 旅費規程による経費の上乗せ
  • 社会保険料を削減したい → 役員賞与を利用した削減

 法人成りのシミュレーションはある程度の知識が必要となるため、できれば小規模事業者に精通した税理士に依頼するのがいいと思いますが、もしご自身でやられる場合は最低限下記内容を理解した上で検討されると大きな漏れはなくなります。

  • 国民健康保険料と健康保険料の計算方法
  • 所得税の計算方法
  • 法人税・法人都道府県民税・法人市民税の税率
  • 法人税の均等割額(法人は利益がなくても均等割額を支払う必要があります)
  • 給与所得控除
  • 法人設立費用(合同会社なら10万円、株式会社なら25万円の概算計算でも可)
  • 法人ならではの節税等の額

 Giraffeでは法人成りシミュレーションなどの個別コンサルも2020年春から開始します。ご興味あればお問合せ下さい。