
今回は、話題の「不足額給付金」について、対象者の確認方法や申請の必要性、注意点まで詳しく解説します。
すでに一部の自治体では通知が発送開始されていますが、一部の方は申請をしなければ受け取れない場合もありますので、最後までご確認ください。
不足額給付金とは?定額減税の最終段階
定額減税は、納税者本人と同一生計配偶者、扶養親族1人あたり4万円(所得税3万円+住民税1万円)が減税される制度です。
例えば3人家族であれば、最大12万円が減税される計算になります。
しかし、実際の運用は複雑で、
月次減税 → 年末調整 → 確定申告を経て、最終的に調整しきれなかった金額が「不足額給付金」として支給される仕組みです。
市区町村は誰に給付するのか、どう把握している?
支給対象者の把握は、次の2つの書類によって行われます:
- 勤務先から提出される「給与支払報告書」
- 税務署から提出される「確定申告書」
これらの情報をもとに、自治体は対象者に「お知らせ」または「確認書」を送付します。
支給対象者は2パターンに分かれる
パターン①:当初調整給付金に不足があった人
令和6年夏に支給された「当初調整給付金」が本来より少なかった場合、不足分が今回支給されます。
給与所得者の場合

源泉徴収票の摘要欄にある控除外額を確認。
受け取った給付金より控除外額が多い場合、差額が支給されます。
例えば控除外額が3万円、当初調整給付金が2.1万円だった場合、1万円未満切り上げで1万円が不足額給付として今年の夏に受給できるということです。
確定申告をした方

申告書第一表の「43欄」「44欄」を比較し、減税額(44欄)が多い場合、不足が発生しています。
不足の要因
なぜ当初調整給付金に不足が生じるのでしょうか? 主な要因は以下の通りです。
- 前年より今年の所得が減少した
- 扶養親族が増えた(出産など)
例えば、令和6年中に子どもの誕生などで扶養親族が増えた場合です。 扶養親族が増えれば、定額減税の対象額も増加します。 そうすると、当初の調整給付金だけでは足りなくなるケースが発生し、不足額給付金の支給対象になるということです。
パターン②:定額減税の対象から漏れた人
以下の3条件をすべて満たす方は、定額減税も給付金も受けられていません。
- 所得税・住民税がともにゼロ
- 扶養親族としてカウントされていない
- 住民税非課税世帯向けの給付金も対象外
このような、税制度の狭間で減税も給付金も受けられなかった方々への救済策として今回、不足額給付が実施されます。
給付額は一律4万円です。
定額減税の対象から漏れた人の具体例
- 青色事業専従者で年収100万円以下の方
例えば、配偶者の事業を手伝って給与を得ているものの、その給与収入が年間100万円以下で所得税や住民税所得割が課税されないケースです。 これらの人々は、税法上の扶養親族にはなれないため、扶養者側での定額減税も受けられず、かつ自分自身も税金がかからないため定額減税の対象外となってしまいます。 - 所得48万円超でも控除により税金が0円の方
例えば、合計所得金額が48万円を超えるため扶養親族にはなれないものの、社会保険料控除、医療費控除などの適用により、所得税も住民税所得割も課税されなくなった方々です。このような方々も、自分自身の所得から減税を受けることができず、また低所得世帯向けの給付金も対象外となる場合に、この不足額給付の対象となります。
給付金の受け取り方法(江戸川区の例)
不足額給付金の受取方法はどの市区町村でも概ね同じやり方となりますので、ここでは支給が早い江戸川区の例をみてみます。

江戸川区の場合、早い方であれば6/20発送で今回の不足額給付の書類が送られてきます。
他の自治体はもう少し遅く、例えば札幌市であれば8月頃に支給開始とのことです。
基本的にはお住いの市区町村から「お知らせ」又は「確認書」といった発送物が届きます。 ご覧いただければ分かる通り、確認書が届く方は、お住いの市区町村が口座情報を把握できていない方です。
公金受取口座登録をしていなかったり、過去にその自治体が実施した給付金事業で口座登録がされていない方です。
で、「お知らせ」が届く方は特に手続きをする必要はありません。 お住いの自治体がその方の口座情報を把握しているので、手続き不要で登録口座へ不足額給付金を振り込んでくれます。
それに対し、確認書が届く方は注意が必要です。

江戸川区であればこのようなハガキになりますが、 こちらに記載されている二次元コードを読み取って口座登録をしなければなりません。
- 「お知らせ」が届く方:自治体が口座情報を把握済 → 手続き不要
- 「確認書」が届く方:二次元コードから口座登録が必要(約4週間で振込)
申請期限は令和7年10月31日まで。期限後は受給できませんのでご注意ください。
要注意:転入者は通知が届かない

今回、最も注意していただきたい点があります。 それは、令和6年1月2日以降に、現在お住まいの市区町村に転入してきた方です。
このような方々は、不足額給付金の対象となる可能性があっても、現在の自治体では以前の自治体での所得状況や当初調整給付金の受給状況を把握できないため、自動的にお知らせや確認書が発送されません。
よって、給付金を受け取るためには、ご自身で受給のための申請を行う必要があります。
ただ、残念ながら、必要書類や申請方法についてはまだ未定となっています。 該当する方は逐一情報をチェックしておきましょう。
まとめ
内容 | ポイント |
---|---|
不足額給付金とは | 定額減税しきれなかった分の給付 |
支給対象① | 当初給付額が不足していた人(源泉徴収票・確定申告で確認) |
支給対象② | 減税の対象から漏れた人(非課税+扶養外など) |
手続き方法 | 通知の種類で異なる(手続き不要 or 口座登録が必要) |
申請期限 | 令和7年10月31日まで |
最新情報は自治体のホームページ(例:江戸川区の不足額給付金情報)をご確認ください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。