札幌市の不動産投資家又は小規模事業者・小規模法人向けの記事となります。 事業を営んでいる方はある段階で個人事業主のまま事業を続けるか、法人成りするかどちらのほうが有利なのかを考える時期があると思われます。 それぞれで発生する所得税・住民税・事業税・法人税・社会保険料を想定した上で比較検討するのが原則ですが、 場合によっては事業を個人事業と法人事業の2つに切り分けたほうがいいケースもあるため、この記事ではそのご紹介をします。

個人事業と法人成りの比較検討

まず結論を申し上げると、事業所得1500万円前後であれば個人と法人の両輪でビジネスを展開するほうがキャッシュフローを高めることができるケースが多いです。
※勿論、切り分けができるようなビジネスモデルであればですが、、、

理由は、個人と法人のいいとこ取りをすることにより、社会保険料を削減することができるケースが多いからです。

具体的に、事業所得が1600万円(専従者給与100万円控除前)の個人事業主(45歳)で配偶者と子の3人世帯を例にして考えてみようと思います。

個人事業主の各種税金等

前年も同水準の事業所得であった場合、国民健康保険料は年間99万円となります。また、国民年金保険料が年間397,800円となり、社会保険料控除合計は1,387,800円となります。 よって、課税所得は「1500万円▲65万円(青色控除)▲1,387,800▲48万円(基礎控除)=12,482,000円」となり、 所得税率33%と住民税率10%で、所得税・住民税合計は概算「12,482,000×43%▲1,536,000=3,831,200円」となります。 事業税は「(1500万円▲290万円)×5%=60.5万円」となります。 よって、税金等の合計額は下記となります。

所得税・住民税 3,831,200円
事業税 605,000円
国民健康保険料 990,000円
国民年金 397.800円
合計 5,824,000円

事業所得1600万円の36%が税金等の支払で消えてしまうことがわかります。

所得税・住民税の金額を意識している経営者は多いですが、社会保険関連の金額に無頓着な経営者が割合多くいるイメージですので、注意しましょう。
特に今回高額となる国民健康保険料は年金とは無関係の掛捨て保険(のようなもの)です。少なくするよう努力しましょう。

法人成りした場合の各種税金

ここでは専従者給与控除前の1600万円がそのまま法人の利益となる場合を想定します。法人成りをすれば2年間消費税の免税期間が発生しますが、ここでは割愛させて頂きます。 また、法人であれば社宅活用・旅費規程による節税等も可能となりますが、それも割愛させて頂きます。
※ご興味ある方は、「社宅を利用した節税」「旅費規程を利用した節税」をご参照ください。

社長へ900万円、配偶者へ100万円の役員報酬を支給するという前提で計算してみます。

法人所得は「1600万円▲900万円▲100万円▲135万円(法定福利費=900万円×15%)=465万円」で、法人税等は1,088,100円(=465万円×23.4%)とします。 社長の課税所得は、給与収入900万円から給与所得控除195万円・配偶者控除38万円・社会保険料控除135万円・基礎控除48万円を控除した484万円となり、所得税・住民税合計は1,024,500円となります。配偶者は社長の社会保険の被扶養者となります。
よって、税金等の合計額は下記となります。

法人税等 1,088,100円
所得税・住民税 1,024,500円
法定福利費 1,350,000円
社会保険料 1,350,000円
合計 4,812,600円

法人成りをすることにより、個人事業主のみである場合に比べて100万円近くキャッシュフローが改善することが分かります。 また、個人事業主時代と異なり、厚生年金へ加入することとなるため、法人・個人で合計270万円支払っている社会保険料も60%ほどは将来の年金に活用されることとなります。 ですので、明らかに法人成りをしたほうが個人事業主のみよりもいいことが分かります。 ただ、個人的には、本当に還元されるかもわからない社会保険料を約270万円支払うことに抵抗があるため、個人・法人のいいとこ取りも検討してみます。

個人事業主と法人を兼用

業務内容Aについては個人、Bについては法人と上手く分散ができ、個人の事業所得800万円、法人の利益800万円とし、社長へ72万円の役員報酬を支払うことを前提で計算します。

法人所得は「800万円▲72万円▲108,000円(法定福利費=72万円×15%)=7,172,000円」で、法人税等は1,678,200円(=717.2万円×23.4%)とします。 社長の課税所得は、事業所得800万円と給与所得17万円(=72万円▲55万円)の合計額から青色控除65万円・配偶者控除38万円・社会保険料控除108,000円・基礎控除48万円を控除した5,832,000円となり、 所得税・住民税合計は1,322,100円となります。 よって、税金等の合計額は下記となります。

法人税等 1,678,200円
所得税・住民税 1,322,100円
事業税 255,000円
法定福利費 108,000円
社会保険料 108,000円
合計 3,471,300円

完全に法人成りをした場合と比較して、更に130万円超キャッシュフローが改善することが分かります。 もちろん、将来受け取ることができる厚生年金の掛金が少なくなりますが、個人的には掛捨てにしかならない健康保険料を多く支払いたくないので、個人でiDeCoの掛金をMAXにし、 自分で老後の財形をしたいと考えています。なんにせよ、個人事業主で一定以上の所得水準に達したときは、実際の数字を仮定してシミュレーションをしてみることが大切になります。

シミュレーションをしてみるタイミングについて

法人成りをすれば2年間消費税の免税期間をとることができます。そのため、法人成りを検討する一つのタイミングは次の期で個人が消費税の課税事業者となるタイミングとなります。

また、法人は所得800万円までは概ね実効税率が23.4%となります。個人の場合、課税所得330万円から所得税率20%・住民税率10%の合計30%税率となるため、そこも一つのタイミングかもしれません。

ご自身での計算では不安な場合は、法人成りのシミュレーションのみの単発のコンサルティングも弊事務所でお受けいたしますので、お問い合わせください。

事業の分離について

異なる事業を営んでいる場合、一つを個人、もう片方を法人で営む方法がスムーズです。その他にも、テナントを所有されている場合はテナントを個人から法人に売却し、法人から個人へ賃料を支払う方法などが考えられます。お客様によって最適な方法が異なるので、気になる方はお問い合わせください。