令和2年度税制改正後の経過措置により不動産の消費税還付を考えられている不動産投資家向けの記事となります。本日発行の税務通信に気になる記事がありました。
記事(税務通信)の概要
既知の通り、令和2年度税制改正で2020年3月末日までに締結した請負契約がなければ(=経過措置)2020年10月以降、居住用賃貸アパートの消費税還付ができなくなりました。ただ、2020年3月末日までに請負契約を結んでいる場合でも、3月末日以後に建物の仕様変更による追加工事が生じた場合は、基本的には消費税還付は受けられない(=経過措置が受けられない)という内容が本日発行の税務通信に記載がありました。不動産の消費税還付を2020年10月以降に計画している方はしっかりと内容をおさえてください。
根拠は何?
記事の中では何を根拠に、建物の仕様変更による追加工事が生じた場合は消費税還付が受けられなくなるのか、明記されていません。ただ確かに、2020年3月31日までに請負契約を結んだ場合の経過措置(改正法附則44)であり、同日以後変更が生じた場合、それは同日以後に締結された契約であると判断され、工事代金全額(追加工事分だけでなく)の課税仕入れが認められないという解釈も税務署側としてはできるかもしれません。
仕様の変更とは
3階建てのアパートを4階建てにする、戸数を増やす、部屋の広さを拡大する、などの追加工事については経過措置の対象外となる仕様の変更による追加工事と考えられるようです。上記の内容ですと、場合によっては請負契約書・物件概要書とずれが生じるため、税務署側でも変更を認識しやすいと思われます。
解釈が難しいのが、ドアノブを変更するなどの軽微な変更であり、これについては税務通信でも「経過措置の対象となる余地、可能性もある」と、慎重な記載になっています。そもそもこの内容だと当初の請負契約から変更となっていることを確認するのも難しいので、そこまで過敏になる必要があるかは分かりません。
なお、仕様の変更については変更工事に係る契約書を交わしている、いないにかかわらず、実態による判断になります。