小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)に採択されるためには

 起業・開業している小規模事業者向けの記事となります。小規模事業者持続化補助金コロナ特別対応型の第一次公募の結果がでました。自社・顧問先会わせて4件の経営計画書作成に携わりましたが、無事4件とも採択されていました。計画書の作り方は様々ですが、これから立案される方向けに、採択されやすい書き方(と、関口が考える)をご紹介したいと思います。残念ながら採用されなかった場合も、自社の事業内容・強みや今後の事業計画を見直すいいチャンスになるので、是非チャレンジしてみてください。
※「そもそも持続化補助金って何?」という方はまず「小規模事業者持続化補助金とは」を参照ください。

「2.事業概要」の書き方

「自社の概要や市場動向、経営方針等を記載ください」と指定があります。指定がある内容は必ず記載する必要があると思われます。文章だけでは読みにくいので、適度に箇条書きにする、画像を使用するなど工夫をしましょう。また、応募の前提で「持続的な経営に向けた経営計画を策定していること」とあるため、当補助事業を実行できない、又は数年後に倒産してしまいそうに見える書き方では採用されにくいと思われます。そのため、「自社の強み」を記載し、後に記載する申請計画内容と結びつけるといいと思います。

実際に記載した<経営方針と自社の強み>の抜粋

下記のように記載しました。

<経営方針と自社の強み>
高付加価値サービスの提供により、小規模事業者の成長と安定を支える。そのため、関口達也税理士事務所では、安易な拡大戦略はとらず、お客様対応は100%税理士が担当することを社内外に掲げている。
また、小規模事業者の成長と安定のためにはお客様のキャッシュフローの最大化が不可欠であるとの考えから、下記内容に力を入れている。

  • Excel・マクロ・RPA等による財務の見える化・業務効率化の提案力
  • 自身の金融機関からの資金調達、補助金申請、合法的な経費削減策の実践等の経験からの提案

※下記、Excel・マクロによる財務の見える化の一例
お客様が指定フォーマットに必要事項を入力することにより、自動で下の表のように営業担当毎の売上・粗利・利益率の月次推移をリアルタイムで確認できる。

やはり、適度に画像を挿入したほうがチェックする側も見やすいと思われます。

「新型コロナウイルス感染症による影響」

新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない企業などないので、記載内容には困らないと思われます。ただし、書き方として、「売上への影響はないが、~」などと記載してしまうとNGだと思われます。嘘を記載するのは絶対にダメですが、表現方法は選びましょう。

実際に記載した内容

 税理士が独立する場合、最初はセミナーや交流会への参加、セミナーの自主開催、税理士会主催イベントなどを通じて中小企業の経営者と知り合い、顧問契約を結ぶケースが多い。しかし、関口達也税理士事務所は2020年2月に開業したため、開業当初から新型コロナウイルス感染症の影響を受け、開業時に通常実施する営業活動が全くできない状態である。2月当初は単発の確定申告の相談等で売上を獲得することができたが、以降は積極的な営業活動ができず、苦戦している。特に4月以降は札幌で再び感染者数が増加しているため、対面での面談による新規顧客開拓には活路がない状態である。
 
 一方でHPからの問い合わせは多くはないが来ている。新型コロナウイルス感染症の影響が治まるまで、直接の面談を希望されるケースは少ないが、WEB面談での感触も悪くないものであった。税理士の仕事の多くは、必要な書類だけ送ってもらえれば画面共有することにより、WEB面談のみの対応でも活路を見出すことができると感じている。

「4.今回の申請計画で取り組む内容」の書き方

最も重点的にみられる内容になると思われます。マーケティングの4P分析をしていることをアピールしつつ、「自社の強み」と実際に支出したい「支出経費の明細等」とをリンクさせ、この補助計画での目標も記載するといいと思います。ボリュームは1.5~2ページほどを使用しました。

実際に記載した内容の抜粋

 今回の計画で若手起業家をターゲットとするのは、①開業時に顧問税理士をほぼ必ず探す、②インターネットで探すことが多い、③WEB面談に抵抗感があまりない、からである。

  • ターゲット=若手起業家(札幌市内の20~30代)
  • 2021年1月末日までの目標:

    問い合わせ件数20件、Web面談件数14件、契約件数8件以上を目指す
      (前事務所の面談時の契約率は6,7割であったため)

  • 取組内容

    22社の社長・事業主に開業時の話について伺ったところ、19人は開業当初の税理士をインターネットで探していた(参考までに他2人は紹介、1人はチラシにより契約していた。)。そこで、弊事務所としてはインターネットによる集客に重きを置き、下記の取り組みを行う。

  1. 起業家支援パックサービスの開始

    WEB面談を前提とするパッケージサービスをつくることにより、起業したての方でも負担感が少ない金額とする。同時に、パッケージ化することにより、弊事務所の業務効率を高める(具体的には弊事務所作成のExcelシートにお客様自身で必要事項を入力してもらい、チェックした上で会計ソフト・税務ソフトへインポートする、など)。なお、起業家支援パックとしては下記サービスに力を入れる。

    • 創業融資、補助金、助成金の情報提供と支援
    • 財務、会計の知識提供、事業計画書の作成
    • 経営全般の相談サービス

    ※起業家にとっての上記メリットを伝えられるパンフレットを本補助金で作成する

  2. HPの充実化とSEO対策、WEBセミナーの開催

     HPの内容の充実化とサイト内のSEO対策を補助金の可否がでるまでに自分でできる限り行う。その後、SEO対策のコンサルティング等の活用を検討するなどし、「起業家」関連の検索ワードで上位表示を目指す。また、最近注目されているWEBセミナーを札幌市内の起業家向けに開催することで認知度の向上を図りたい。

※自作している現状のHP

「5.~本補助金が経営上にもたらす効果」の書き方

本補助金は小規模事業者の持続的な経営力を強化することを目的の一つとしています。ですので、この計画が終了した後もこんな効果が残るので収益構造は万全であることを書けばいいと思われます。

実際の書いた内容の抜粋

  1. 起業家支援サービスの一層の充実
  2.  起業家支援パック対応顧客が増えれば弊事務所の起業家支援の実績が増え、必然的にノウハウが集積され更なるサービスの充実化につながる。

  3. さらなる販路の拡大
    • 起業家からの口コミによる紹介
    •  起業家からの信頼を獲得することができれば、起業家間のネットワークにより今後開業する方や、現在の顧問税理士に不満のある方を紹介してもらうことができる。

    • 「起業家」関連以外での検索順位の向上
    •  起業家をターゲットとしたWeb戦略をすすめることで、次の戦略の一手となるキーワード(例えば「起業家支援コンサルティング」、「相続」など)でもWeb上で優位に立つことができる。