経理作業の効率化に興味がある個人事業主(青色申告)向けの記事となります。
個人事業主の場合、経理を雇っているケースは少なく、自身で日々の記帳等を行っているケースが多いと思います。小まめに記録をつけていればいいのですが、本業が忙しく中々時間をとれず、年末になってから慌てて一年間の記帳作業を行う個人事業主の方も多いのではないでしょうか。
時間をかけるべきは記帳によるアウトプットである月次の損益の検証であり、記帳自体に多くの時間をかけることには意味がないと考えています。今回は個人事業主がなるべく時間をかけずにできる記帳方法について考えていきます。
個人事業主の会計ソフト利用方法
青色申告の個人事業主は会計ソフトを使用しているはずです。会計ソフトはどこのメーカーも使いにくく、本業が忙しい個人事業主が頻繁に起動させるのは現実的ではありません。会計と連動できる機能は使用しつつも、頻繁に入力が必要な内容については使い勝手のいいExcel→会計ソフトへインポートをすることをおすすめしています。業種によって多少異なりますが、基本毎月の作業は下記勘定科目の仕訳をするだけですむと思います。
- 普通預金
- 小口現金
- 未払金・買掛金
- 資産の月次償却
資産の月次償却は毎月同額費用計上をするだけなので、普通預金、小口現金、未払金・買掛金の仕訳をどうするかのみ考えれば楽です。
※資産の月次償却も会計ソフトへ打ち込むのはやめてExcelから会計ソフトへインポートしましょう。一度書式を作ってしまえば半自動化できます。細かい作業をなくすことで大きな時間を作ることができます。
普通預金の仕訳方法
インターネットバンキングの利用(できればネット銀行で)を利用することをおすすめしています。
普通預金は弥生会計やMFクラウドなどの会計ソフトとインターネットバンキングを連動させることで、仕訳方法を学習させ、学習させた仕訳を取り込むことができます(但し、摘要欄から仕訳内容を判断するため、取引明細の摘要欄が空欄の場合は役に立ちません)。
ただ、銀行の取引明細で振込手数料が別建て表記されていない場合、会計ソフトに連動する仕訳も別建て表示されません。なので、せっかくネットバンキングと会計ソフトを連動させても、支払手数料を別建てに修正するために会計ソフトをいじらなければなりません。振込回数が多いとかなりの手間となるため、この作業はなくしたいです。
金融機関次第ではありますが、ネット銀行であれば、インターネットバンキングを利用する際の年間手数料が無料で、かつ支払手数料が別建て表示されます。なので、インターネットバンキングと連動させることにより会計ソフトに取り込める仕訳データはある程度精度が高いものとなります。借り入れがある等、特定の金融機関と付き合う必要がない場合はネットバンキングを利用することをおすすめしています。
※ちなみにGiraffeは会計ソフトの連動機能はほとんど使用していません。いちいち「確定」ボタンを押す必要があるなど、やや時間ロスがあるためです。ネットバンキングから取引明細をcsv出力し、それをインポート書式に変換するExcelデータに貼り付け、インポートしています。機会があれば別記事でご紹介します。
小口現金出納帳又はレジ管理
現金管理の原則は、なるべく現金取引を減らすことです。履歴が残るクレジットカードか振込対応を基本とすべきです。もちろん、現金対応せざるを得ないケースもあるため、下記対応をおすすめしています。
飲食店・小売店等、現金売上が多い業種ではレジを導入することをおすすめいたします。手作業で売上集計するお店もありますが、やはり経理作業を楽にするためにはレジ導入が必須です。売上だけでなく、現金購入の消耗品等もレジに登録することができ、そのデータを会計ソフトに連動することが可能なため、現金について会計ソフトをいじる必要がなくなります。
現金売上がない、又は多くない業種では小口現金出納帳をExcelで周期的に入力しましょう。下記のようなシートを作成し、毎月一度会計ソフトにインポートすると会計ソフトをいじらなくてもいいので楽です。
クレジットカードのインポート
クレジットカードはカード会社HPから取引履歴をcsv出力し、それを会計ソフトに取り込むのが楽なやり方です。会計ソフトに直接連動させることもできますが、引き落とし時に残高が0円にならなくなってしまうため、監査の観点からはあまり好ましくありません。
下記記事を参照ください。
未払金・買掛金のインポート用紙
仕入れ等の請求書関係はインポート用のExcelにまとめて入力し、それを会計ソフトにインポートするやり方をおすすめしております。従業員の給料や減価償却費など資産の月次償却費も同じシートでインポートできるように作ることが多いです。やってみると非常に楽です。
機会があれば作成例を記事にしようと思います。
個人事業主の記帳はやり方によっていくらでも楽にすることができます。ただ、会計とExcel・マクロ・ITに精通した人が具体的な月の経理方針を設計しないと中々効率化できないのが現状です。Giraffeは税務顧問はもちろん、月の経理方針・方法を設計するコンサルティングも実施する予定なので、効率化にご興味があればお気軽にお問い合わせください。