【完全解説】個人事業主が法人化するメリット・デメリットとは?

個人事業を続けていると、あるタイミングで「法人化すべきか?」と悩むことがあります。 特に売上や利益が増えてきたとき、取引先との関係が深まってきたときなど、法人化を検討する場面は少なくありません。

この記事では、個人事業主が法人化する際に知っておきたいメリット・デメリットをわかりやすく解説します。 法人化すべきタイミングの判断材料として、ぜひ参考にしてください。

関口達也税理士事務所では法人化・法人成りを検討している方向けに、「法人化(法人成り)支援プラン」をご準備しております。割安な価格で法人の設立代行から記帳代行・年末調整法定調書・申告書の作成等の一通りの業務をサポートしているコスパのいいプランとなっているので、法人設立やシミュレーション作成等、「お問い合わせフォーム」よりお気軽にご相談ください。

法人化・法人成りするメリット

①節税効果が期待できる

法人化の大きな目的の一つがこちらの節税効果だと思われます。

個人事業主の所得税は、利益が大きくなるほど税率が上がる「累進課税制度」です。 一方、法人の税率は一定水準に保たれており、利益が大きくなるほど法人化したほうが税負担は軽くなるケースが増えます。

また、法人では個人事業主ではできない、下記のような節税効果の非常に大きい方法もあります。

  • 「役員報酬」による所得分散
    ⇒経営者本人や家族への報酬をうまく使うことで節税可能
    ※やり方次第では社会保険料の削減も可能
  • 社宅活用による利益圧縮
    ⇒家賃の最大80%程度を経費計上可能に!
  • 旅費日当の支給による利益圧縮
    ⇒法人では経費、受け取る個人では非課税扱いの夢の節税策!
    • もちろん、全員が上記節税策を使えるわけではありません。 例えば住宅ローンによる持ち家がある方であれば、社宅活用は難しくなります。 そもそも出張がない方であれば旅費日当の活用も難しいです。 ただ、上記策がうまく利用できる方であれば、個人事業主でいるよりも法人化した方がトータルキャッシュフローが改善するケースが多くなります。

      ②社会的信用が高まる

      法人化の大きな目的の一つに、社会的な信用を高めるということもあります。

      新規顧客開拓が難しい起業間もない方の場合、このメリットが一番大きいかもしれません。

      「株式会社」「合同会社」といった法人格があることで、取引先や金融機関からの信頼性が向上します。 新規の取引や融資申請、ビジネス拡大において有利になるのが大きなメリットです。

      特にビジネスで常に付きまとう新規顧客の獲得については、当たり前ですが個人よりも法人の方が有利です。 個人よりも法人の方が多少なりとも敷居が高く、ビジネスの本気度を感じるからです。 新規取引者としては、個人よりも法人の方が、安心度があるからです。

      また、事業を始める段階で一定以上の規模拡大を目指すのであれば、最初から法人でスタートしたほうがいいと言えそうです。 というのも、後々個人事業主が法人成りをするとなると、各種手続きや取引先への周知等、余計な手間暇が増えるからです。

      ③事業承継・相続対策がしやすい

      法人は独立した「法人格」を持つため、代表者が引退・死亡した場合でも、会社をそのまま存続・譲渡することが可能です。 また、死亡した場合でも死亡退職金を支給することができ、その分株価を下げた相続対策をすることも可能です。

      一定以上の会社規模になれば事業承継税制の活用も視野に入れることが可能です。

      法人化・法人成りするデメリット

      ①設立・維持にコストがかかる

      法人設立には、登記費用や定款認証費用などが発生します。 合同会社で10万円ちょっと、株式会社で25万円ほどの初期費用がかかるほか、赤字でも発生する法人税の均等割(年間7万円)などのランニングコストもあります。
      札幌市で会社設立をする方で、個人事業主の開業から5年経過していない方であれば会社設立に伴う補助金があり、会社設立のハードルが下がります。詳細は「起業に役立つ補助金」を参照ください。

      また、個人の確定申告書とは異なり、法人税申告書の作成は一般の方にはハードルがかなり高くなっています。 そのため、法人化した場合は税理士と顧問契約を結ぶ必要もあり、そこでもランニングコストが発生します。

      なお、従業員が少ないうちは社会保険関連の手続きは自分でもできます。ですので社労士との顧問契約は法人化してすぐに発生するランニングコストに含めなくてもいいと思います。

      ②会計・税務が複雑になる

      法人は決算申告や年末調整など、税務・経理が高度になるため、税理士に依頼するのが一般的です。 そのため、先ほども述べた通り、税理士への顧問料などのランニングコストが発生します。

      毎月の仕訳入力は自分でやっても税理士に任せても、どちらでもいいと思います。 ただ、設立当初はとにかく売り上げを伸ばすことに集中するべきです。当然、試算表の読み方は把握する必要がありますが、「限られた時間」という観点から考えると、仕訳入力は税理士に任せた方がタイパがいいと思われます。

      ③個人資産との明確な分離が必要

      法人の資産と個人の資産は明確に分ける必要があります。 法人口座にお金があるからといって、役員報酬以外の形で自由に引き出すことはできません。 悪い言い方をすれば、上記は社長の横領です。 銀行評価は最悪になり資金調達が難しくなりますし、税務署は社長の使い込み金額を「役員賞与」認定し、社長個人の所得税の追徴課税を取ってきます。

      会社のお金は自由に引き出すことができません。資金管理の自由度が下がる点は要注意です。

      法人化・法人成りすべきタイミングとは?

      法人化を検討する判断基準の一つとして、年間の利益が500万円以上であることが挙げられます。 この水準を超えると、法人化による節税メリットが実感しやすくなります。

      ただ実際には法人特有の節税手法(=社宅活用・旅費日当など)が使えるかどうかを考慮し、法人税・所得税・住民税・社会保険・税理士報酬の負担額をシミュレーション比較する必要があります。 税金だけでなく社会保険の正確な知識も必要になるため、法人化・法人成りに強い税理士に相談するのがおすすめとなります。

      また、節税目的以外にも次のような状況にある方は法人化を検討する価値があります:

      • 従業員を雇う予定がある
      • 取引先から法人を求められている
      • 外部から資金を調達したい
      • 将来的に事業を譲渡・継承したい

      まとめ:法人化・法人成りは慎重に判断しよう

      法人化には多くのメリットがある一方で、初期費用や維持コスト、手続きの煩雑さなどのデメリットもあります。 会社規模を拡大するつもりがない方であれば、マイクロ法人活用も選択肢に入れる必要があります。 事業の成長ステージや目標に応じて、法人化すべきかどうかを検討しましょう。

      関口達也税理士事務所では法人化・法人成りを検討している方向けに、「法人化(法人成り)支援プラン」をご準備しております。割安な価格で法人の設立代行から記帳代行・年末調整法定調書・申告書の作成等の一通りの業務をサポートしているコスパのいいプランとなっているので、法人設立やシミュレーション作成等、「お問い合わせフォーム」よりお気軽にご相談ください。