Excelを使って担当者毎、現場毎の粗利益をきちんと把握しましょう

札幌市で営業効率の改善に興味のある小規模事業者・小規模法人向けの記事となります。 中規模以上の企業では外注のシステムを使って原価管理するのがいいと思いますが、小規模事業者・小規模法人ではExcel管理のほうがコスパに優れています。特にリフォーム業、内装業、遺品整理業の経営者で、各現場毎の粗利益を把握できていない方は必見です。その会社の業種、原価の支払方法などによって最適なフォームが異なるため、ご興味があればお気軽に関口までお問い合わせください。

売上・粗利月次推移表

上記推移表であれば、すぐ作成することができます。こういったツールを作成するために小規模経営者がExcel技術を高めるためには時間がかかるため、小規模事業者の相談役である税理士がExcel・IT技術を高めるべきであり、そういった税理士の需要は高いと感じています。

売上が右肩上がりなのに現預金が減っていく恐怖

売上は順調に増加し、日々忙しいにも関わらず、手元に残る現預金が少なくて首を傾げている方はいないでしょうか?これは税理士として、実際に新規の小規模事業者・小規模法人を顧問する際によくみる内容です。売上がさらに拡大すれば問題ないとその状況を放置してしまうと、大変なことになってしまうかもしれませんよ。

なぜ現預金が減っていくのか

手元に現預金が残らない要因はいくつか考えられます。建設業では、入金までに時間がかかることにより、一時的に現預金がショートすることがよくあります。理由がそれだけであれば、得意先の業者への支払までの期間を長くしてもらうよう相談したり、金融機関から借入をするだけでキャッシュフローは改善します。
また、大型の設備投資をした場合も、現預金が残らなくても無理はありません。
問題なのは、見積(請求金額の計算)が甘く、受注案件によってはお客様への請求金額よりも発生するコストが高くなってしまっている場合です。営業担当が複数人いる場合、正確に状況を把握して指導しないと営業のモチベーションを減少させることになり、原価割れを生じさせているのが誰なのか特定するのも大変です。実際に原価割れをしている証拠(=数字)を示さない限り、営業の意識改革を行うことはできません。しかし、放置してしまうと、売上が右肩上がりで全社員忙しいにもかかわらず、現預金が底をつき、社員に給与を払えなくなる、笑えない状況に陥ってしまいます。
正に、貧乏暇なし状態です。

現場毎の粗利益を把握することの重要性について

流石に会社全体の毎月(少なくとも四半期)の粗利益・営業利益・経常利益を把握していない経営者は少ないと思いますが、担当者毎、さらに言えば受注案件ごとの粗利益・営業利益を把握できている経営者は多くはありません。 しかし、小規模事業者・小規模法人であれば案件数が極端に多いわけではないため、担当者・現場毎の各利益を知っておくべきだと思います。 その理由は、①適正な値付けに役立つ、②担当者の意識改革に役立つ、③社員の頑張りに応じた賞与額を支給しやすい、です。

①適正な値付けに役立つ

たまたま外注費や材料費が高くつき原価割れする仕事もあると思います。それは仕方ありません。重要なのは、原価割れしてしまった要因を分析し、その内容を担当者全員で共有することにより、再発防止に取り組むことです。値付けによって会社の存続が決まります。受注案件ごとの粗利をきちんと把握しましょう。

担当者の意識改革に役立つ

人間は自分の頑張りを過大評価し、他人の頑張りを過小評価します。各担当者の売上・粗利をしっかりと数字で根拠として示すことにより、いいフィードバックを浸透させましょう。私がかつて働いていたキーエンスでは、各担当者の電話件数、電話時間、訪問件数、訪問時間、訪問時に使用したツールなど、ありとあらゆる項目を数字化し、業績の悪い社員はその数字を基に上司から徹底的な指導を受けていました。

社員の頑張りに応じた賞与額を支給しやすい

各社員の粗利を把握できれば、その粗利に応じて賞与額の傾斜をつけることができます。粗利だけで評価するのも問題ですが、客観的な評価項目の一つにすることはできます。

売上入力と経費精算を連動させた粗利把握ツール

業種や支払方法によって最適な担当者・受注案件ごとの粗利把握ツールは異なります。ここでは各担当者が現金で原価の支払いを行い、後日会社に経費精算する会社向けに作成したツールの紹介をします。

経費精算sheet

経費精算書入力sheet

上記フォーマットのB列~H列までを各経費毎に入力します。B列の「売上先」は次にご紹介する「売上入力」sheetの「売上先」と完全一致させる必要があります。そのため、「データの入力規則」の「リスト」機能によって、完全一致しないとエラー表示がでるようにしています。F列の「支払方法」は、「現金」の場合のみ、経費精算書として出力するために「現金」と「振込」のどちらかを正確に入力してもらいます。「振込」の場合、経費精算の対象ではないため、少し変な感じがするかもしれませんが、原価計算のためには仕方ありません。また、H列には会社に経費精算を申し出る日付を記入します。

経費精算書の提出フォーマット

実際に担当者が会社に経費精算書を出力して提出する際にも当然このExcelは使用します。「テーブル」機能を使用しているため、F列を「現金」、H列を経費精算書を提出する日を指定することにより、会社に提出すべき上記経費精算書を出力することができます。会社の経理担当者(or社長)は、経費精算書の各項目と領収書をチェックし、問題がなければ経費精算をします。

Excelで経費精算書を作成するメリットとして、現金支出の内容を会計ソフトに取り込むことができることもあります。間違っても現金経費精算書Excelに入力し、再度会計ソフトへ手入力するような無駄作業はしないようにしてください。

売上入力sheet

売上入力sheet

F、G、K列には算式が入っています。F列は「経費精算書入力」sheetからSUMIF関数を使用することにより、C列に入力された「売上先」に関する原価が自動反映されるようにしています。算式の入っている列は「校閲」の「シート保護」機能で編集できないようにするのがいいと思われます。

各列を入力することにより、受注案件に関する粗利が把握できるだけでなく、売掛金の回収漏れも共有することができます。

売上入力sheetの内容をピボットテーブル化すると見やすい

売上・粗利一覧

売上入力sheetの内容はピボットテーブルによって表にすると経営者にとって見やすくなります。上記画像のように、売上と粗利を月次推移で表示させれば、担当者の稼ぐ力が一目瞭然になります。