こんにちは。税理士試験には受かっていますが、未だに税理士登録をせず、税理士法人による雇われの身である、檻の中のGiraffeです。会社という檻の中にはいますが、7年ほど前から個人的にアパート投資をしているため、完全に野生の血を失ったわけではなく、現在も爪を研ぎながら、檻から抜け出す機会を日々見極めています。(キリンに爪はありませんね笑)
2020年6月7日追記:2020年2月25日に独立しました。
今回は、普段税務のプロとしてお客様にコンサルティングしている不動産投資の消費税還付スキームについてお話しします。税理士や不動産業者が決して口にしない内容も含まれているため、不動産投資に興味がある方はお読みください。
2020年6月7日追記:賃貸アパートの不動産消費税還付は原則2020年9月末日の建物引き渡しを最後にできなくなります。民泊物件・テナントは今まで通り可能です。
不動産投資の消費税還付とは
不動産投資家の中ではメジャーになってきた消費税還付のスキームをご存知でしょうか?消費税還付スキームは物件購入時に建物に係る消費税額を国から取り戻すことができるスキームで、例えば8640万円の建物を購入する場合ではスキームを使用するかしないかで640万円(=8640万円/1.08*0.08)の差額が生じるなど非常にインパクトが大きい手法であり、かつ2019年現在の税制では完全に合法的な手段です。多少の手間が発生するため、建物金額が小さい場合はお勧めしませんが、これから投資用物件を購入される場合には必ずシミュレーションをし、検討するべき内容だと思います。
(ちなみにぼくが7年前、初めて物件購入した際は消費税還付スキームの存在を知らずに後で悔しい思いをしました。まあ、高利回り物件として現在も稼働しているため、問題はありませんが、不動産投資は動く金額が大きいので、事前の調査が必須ですね。)
自己申告による不動産投資の消費税還付の難しさ
ただ、この消費税還付について、税務に精通していない個人投資家が自分でスキームを考え、消費税の自己申告により還付を受けるのは実質的には不可能ではないかと思われます。そもそも、税理士業界の中でも消費税還付スキームを手ぬかりなく行える人材は少ないのが実態です。理由としては消費税の世界は税理士にとっても複雑かつ注意が必要な税法で、国は消費税還付を封じ込める方針をとっており、届出を期限内に出し忘れてしまった(そもそもスキームを知らない税理士が多いです)、家賃収入が想定よりも多くなり課税売上割合が足りない、投資家が購入から3年以内に物件を売却してしまった、などいくつかの条件をクリアする必要があるためです。実績のない税理士は還付が失敗した時のリスクを考え、手を出さないのが普通です。また、これは税理士であればわかるはずですが、消費税の世界では課税売上割合が95%未満である場合(還付後の数年間は一般的に課税売上割合が95%未満となります)、一般的には個別対応方式により会計処理しますが、税務に精通していない個人投資家には処理が複雑すぎで、申告も難しいです。
不動産投資の消費税還付をする際の注意点
消費税還付をする際は還付をすることによる手残り額がどれくらいになるのかはしっかりシミュレーションしましょう。消費税還付を行うにはいくつもの経費が必ず発生し、不動産業者、税理士が作成するシミュレーションにはそれが反映されていない場合がほとんどだからです。
現状、個人投資家が消費税還付を受けるためには、消費税還付に精通している税理士に依頼するしか方法はないと思います。消費税還付の報酬は還付額の20~30%の成功報酬としている税理士が多いようです。(実績のある税理士によるスキームで成功しない還付もほとんど聞いたことありませんが、、、、)
また、消費税還付のスキームは基本的に法人購入を前提としているため、基本的には法人の確定申告をその税理士に毎年お願いすることになると思います。個人事業の確定申告を自己申告するのは難しくありませんが、法人の確定申告を自分で正しく作成するのは中々難易度が高いからです。不動産保有法人の確定申告報酬は年間25万円前後の場合が多いようです。
居住用建物で消費税還付を行う場合、一般的な手法では金の売買を一定量取引します。消費税の課税売上(家賃収入など、消費税が非課税となっている売上を非課税売上と言います)を高くするためなので、短期売買が基本となり、取引量の1%前後の損失が発生します。
その他にも法人設立をする場合の設立費用(合同会社の場合15万円前後、株式会社の場合25万円前後)等が発生します。