最低限押さえておきたい「税務・社会保険」の年間スケジュール

中小企業やスタートアップにとって、税務・社会保険に関する年次スケジュールは非常に重要です。
対応漏れがあると、延滞税・加算税・従業員トラブルにつながりかねません。

本記事では、弊事務所のお客様向けに毎年必ず発生する手続きや注意点を月ごとに分かりやすく整理しました。
社長やバックオフィス担当者が最低限知っておくべき内容に絞ってまとめています。


4月:健康保険料率の変更

4月は多くの健康保険組合で保険料率が改定されるタイミングです。

  • 給与から控除される健康保険料が変わる可能性があります
  • 3月以前と同じ金額で振り込んでしまうと、控除額と振込額にズレが生じることがあります

給与計算担当者は、4月支給分の給与明細と振込額を必ず確認しましょう。


5月:住民税・償却資産税の通知が届く月

住民税特別徴収額の通知

市区町村から住民税の特別徴収税額決定通知書が送付されます。

  • 役員のみの法人の場合:通知書を税理士事務所と共有してください
  • その後、6月以降の給与明細に新しい住民税額を反映します(当事務所で対応)

償却資産税の納税通知書

市区町村から償却資産税の納税通知書が届きます。

  • 納税手続きはお客様ご自身で行っていただく必要があります

6月:住民税の更新月

住民税特別徴収額の変更

6月から翌年5月までの住民税額が確定し、給与から控除される住民税が変更されます。

  • 給与振込額が5月までと変わる可能性が高いため要注意です

(納期の特例の場合)住民税特別徴収の納付

  • 毎年6月10日までに、12月~5月分の住民税特別徴収額をまとめて納付します
  • 納付手続きはお客様ご自身での対応となります

7月:源泉所得税・社会保険関連手続きが集中

  • 10日までに源泉所得税の納付(当事務所にてダイレクト納付予定)
  • 算定基礎届の提出(社労士業務)
  • 労働保険の年度更新手続き(社労士業務)

7月は、税務と社会保険の重要な手続きが集中する月です。
スケジュールに余裕を持たせておくと安心です。


8月:特に大きな定例業務はなし

8月は、税務・社会保険面では大きな定例業務はありません。


9月:特に大きな定例業務はなし

9月も、毎年必ず発生するような大きな手続きはありません。


10月:社会保険料の定時決定が給与に反映

7月に提出した算定基礎届をもとに決定された標準報酬月額により、
10月支給の給与から社会保険料が変更されます。

  • 社会保険料の控除額が変わるため、給与振込額の確認が必須です

11月:年末調整の準備月

11月は、年末調整に向けた準備を行う重要な月です。

  • 従業員から扶養控除等申告書などの年末調整関連書類を回収
  • 11月中を目安に、書類を取りまとめて税理士事務所宛にご郵送ください

この段階での準備がスムーズだと、12月の年末調整処理が格段に楽になります。


12月:年末調整の本番

  • 年末調整の結果を給与へ反映(当事務所で処理)
  • 源泉徴収票を従業員へ配布
    当事務所から郵送する源泉徴収票を、各従業員に配布してください
  • (納期の特例の場合)10日までに6~11月分の住民税特別徴収額を納付
    納付手続きはお客様ご自身での対応となります

1月:源泉税・法定調書・償却資産申告

  • 20日までに源泉所得税の納付(当事務所でダイレクト納付予定)
  • 法定調書を税務署・市区町村へ提出(当事務所が代理提出)
  • 償却資産申告(当事務所が代理申告)

1月は「前年のまとめ」と「新年のスタート」が重なるため、タスク管理が重要です。


2月:特に大きな定例業務はなし

2月は、基本的には大きな税務・社会保険の定例業務はありません。


3月:確定申告の提出(該当者のみ)

個人の所得税の確定申告が必要な方は、3月15日までに申告書の提出が必要です。

  • 役員報酬以外に不動産所得や事業所得がある方
  • 株式譲渡や仮想通貨取引などがある方
  • 給与を2か所からもらっている方

該当が疑われる場合は、早めに税理士へご相談ください。


3月決算法人の場合に追加で必要なスケジュール

決算月が3月末の法人は、上記に加えて以下のスケジュールが発生します。

5月末:法人税等の申告・納付

  • 法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・消費税などの申告・納付期限です
  • 決算書と申告書の作成が間に合うよう、早めの資料準備が重要です

11月末:法人税等の中間納付

  • 前事業年度の実績に基づき、中間納付額が計算されます
  • 資金繰りに影響するため、事前に金額の目安を把握しておくと安心です

消費税の中間申告・納付の回数

前年度の消費税納税額に応じて、中間申告・納付の回数が変わります。

  • 中間申告なし
  • 1
  • 3
  • 11

どの区分に該当するかは、前年度の申告内容によって決まりますので、個別に確認が必要です。


まとめ:年間スケジュールを把握して「やり漏れゼロ」へ

税務・社会保険の業務は、毎年同じタイミングで必ず発生する定型業務です。
特に、

  • 給与に影響する月(4月・6月・10月・12月)
  • 納付期限がある月(6月・7月・12月・1月)
  • 年末調整の時期(11月~12月)

は、ミスや漏れが起こりやすいポイントです。
自社のカレンダーやタスク管理ツールに、あらかじめスケジュールを登録しておくと安心です。

ご不明点や、自社に当てはめた具体的なスケジュール相談などがございましたら、
お気軽に税理士事務所までお問い合わせください。