札幌で法人化に失敗しないために押さえておくべき5つの落とし穴

札幌で個人事業から法人化(法人成り)を検討している方の中には、「節税になると聞いた」「信用力が上がるから」といった理由で法人化を決断される方も多いでしょう。
しかし、実際の現場では法人化に失敗して税負担や手間が増えたというケースも少なくありません。

この記事では、札幌の税理士が法人化の「よくある失敗例」と「避けるためのポイント」をわかりやすく解説します。


1.節税だけを目的に法人化してしまったケース

もっとも多い失敗例が、「節税になる」と聞いて法人化したものの、実際は思ったほど税負担が下がらないパターンです。

原因

  • 元々所得が少なく、法人化による税率差の恩恵が小さい
  • 法人特有の節税策(社宅・日当など)を活かせなかった
  • 社会保険料の負担を過小評価していた
  • 法人維持コスト(顧問料・決算料・登記費用など)を考慮していなかった

札幌での注意点

札幌市の場合、法人市民税の均等割(最低でも7万円〜)が発生します。
売上・利益規模が小さい段階で法人化すると、むしろ手取りが減るリスクもあります。

回避策

法人化の検討は「課税所得500万円前後」がひとつの目安です。
但し、それは法人特有の節税策が上手く当てはまる人の場合です。社宅活用、旅費規程による日当、配偶者への所得分散など、法人特有の節税策が当てはまらないのであれば、節税効果が出始めるのは課税所得800万円前後からかもしれません。

また、課税所得1000万円程度の場合、本当に節税だけを目的にするのならマイクロ法人活用の方がむしろ手元にお金が残りやすいケースが多いです。マイクロ法人活用については「マイクロ法人設立のメリット・デメリット」を是非ご参照ください。

法人化を検討する上では、節税以外の目的(社会的信用力、雇用、将来の事業拡大など)も合わせて考えることが重要です。


2.社会保険の負担を軽視したケース

法人になると、代表者1人だけの会社でも社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務となります。

原因

  • 保険料が高く、手取りが減少
  • 加入手続きを怠り、後から追徴される

札幌での注意点

社会保険料は年間で数十万円〜100万円を超えることもあります。ざっくり給与の15%を個人が負担し、さらに15%を法人が負担する必要があるからです。
もし役員報酬を毎月50万円とすると、個人・法人の負担額合計で約15万円の社会保険料となり、その負担がとても重くなります。

回避策

役員報酬をシミュレーションし、手取り・社会保険料・法人税のバランスを検討してから法人化を決定しましょう。
また、役員賞与を活用した社会保険料削減策やマイクロ法人活用という方法も考えられます。
※「役員賞与を活用した社会保険料削減策」も是非ご参照ください。
※細かなシミュレーションをしている「法人化のタイミング完全ガイド」も是非ご参照ください。


3.資金繰りを悪化させてしまったケース

法人化に伴い、報酬の支払方法や経費計上のルールが変わります。
個人事業時代の感覚で資金管理していると、思わぬキャッシュ不足に陥ることもあります。

典型的な失敗例

  • 役員報酬の源泉所得税・社会保険料の支払いを見落とした
  • 法人の資金を個人の生活費に流用してしまった
  • 銀行口座を分けず、経理が混乱

回避策

税金・社会保険料がどのタイミングでどれくらい発生するのか、毎月振り返っておきましょう。
関口達也税理士事務所の「法人化支援プラン」では、dropboxに各種データを格納するだけで毎月税理士が記帳作業を行い、試算表や今後1年間の納税予測表をご提供いたします。コスパ・タイパに優れたプランなので是非ご活用下さい。


4.法人設立後の会計・税務管理を怠ったケース

法人化すると、毎年の決算書・申告書作成が必要になります。
記帳や書類管理を後回しにすると、ペナルティや税務調査リスクが高まります。

典型的なミス

  • 経費領収書を整理せず、決算時に混乱
  • 消費税の課税事業者になるタイミングを誤った
  • 交際費や役員貸付金などの処理ミス

札幌での注意点

札幌国税局では中小企業向けの税務調査も多く、法人設立直後は狙われやすい傾向があります。
現金取引をなるべく少なくすることで経理作業を極小化することができます。効率化に適した法人口座やクレジットカードも存在するので、設立直後の仕組みづくりが非常に重要となります。
※2025年11月時点ではGMOあおぞらネット銀行と同行のデビットカードの経費利用が最も効率的です。デビットカードの利用履歴もGMO口座に反映され、さらにGMOは法人税等の税金の引落等にも対応しているからです。


5.補助金・助成金の活用を逃したケース

札幌市や北海道では、創業・法人化を対象とした補助金制度があります。
例えば「札幌市中小企業支援センター」「北海道創業サポート事業」などです。

しかし、多くの方が申請期限や要件を知らずにチャンスを逃しているのが現実です。

回避策

法人設立を決める前に、北海道の起業家支援ページなどを確認しましょう。
また、補助金を利用するには「事業計画書」や「見積書」などの事前準備が必要な場合があります。


まとめ:札幌で法人化を成功させるためのポイント

  • 法人化は「節税」だけでなく「将来の事業拡大・信用力向上」を見据えて判断する
  • 社会保険・税金・資金繰りなどのコストを事前に試算する
  • 札幌市や北海道の創業支援制度を活用する
  • 設立直後から税理士と連携し、経理・申告をスムーズに進める

法人化は、正しく進めれば大きなメリットを生みます。
逆に準備不足のまま進めると、節税どころか負担が増えることもあります。

札幌で法人化をお考えの方は、一度税理士にご相談ください。
当事務所では「法人化シミュレーション」「社会保険負担比較」「資金繰り計画」などをもとに、最適な形をご提案しています。

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