札幌で起業するときの資金調達方法まとめ

札幌で起業を考えるとき、多くの方が最初に直面するのが「資金をどう集めるか」という課題です。
勿論ぼくとしては、起業当初は固定費をなるべく抑え、数か月間~半年間売上がなくてもお金に困らない、じっくりと自社ビジネスを構築できるスモールビジネスから始めることをお勧めはしています。 ただ、業種によってはやはり、設備資金、運転資金、広告宣伝費など、想像以上に多くの費用がかかります。
そんな際は、札幌市等の制度をぜひ有効活用しましょう。 札幌には起業家を支援する公的機関や資金調達の仕組みが充実しており、しっかりと情報を集めて準備すれば、資金面の不安を大きく減らすことができます。
この記事では、札幌で起業するときに利用できる主な資金調達方法をわかりやすくまとめました。
※札幌で起業する方向けの「起業に役立つ創業補助金/助成金」記事も是非ご参照ください。


1. 日本政策金融公庫の創業融資

最も代表的な資金調達方法が、「日本政策金融公庫」による創業融資制度です。
これは、国が運営する公的金融機関が、創業間もない個人事業主や法人に無担保・無保証で資金を貸し出す制度で、札幌の多くの起業家が利用しています。
もし融資希望額が1000万円未満であれば支店決済可能なので、公庫の創業融資だけ考えれば問題ないと思います。

特徴

  • 担保・保証人が不要(「新創業融資制度」)
  • 融資限度額:最大3,000万円程度
  • 金利:年1〜3%前後(時期・条件による)
  • 返済期間:運転資金で7年以内、設備資金で10年以内
  • 融資実行までのスピードが早い(初回面談から1か月程度)

申請のポイント

事業計画書が審査のカギを握ります。
売上見込み、ターゲット層、資金の使い道を明確にし、現実的な数字で計画を立てましょう。
特に札幌では飲食業やサービス業など競合の多い業種が多いため、「差別化ポイント」や「地域密着型の強み」を具体的に示すことが重要です。

また、起業する分野での代表者の経験や起業のために用意している自己資金額も重視されます。代表者の経験次第で、起業当初からビジネスが上手くいくか予測がつくと公庫が考えているためです。
もしその分野での経験がないのであれば、アルバイトでもいいので一度その業種で働いてから起業するのも手です。
※関口達也税理士事務所では創業融資支援にも力を入れてます。もし事業計画書等に不安がある場合はお気軽にご相談ください。


2. 札幌市や北海道の創業支援制度を活用する

札幌市はスタートアップ支援に力を入れており、各種の補助金・助成金制度が整っています。返済が不要な資金も多く、融資と組み合わせて活用することで自己資金の負担を減らすことが可能です。

代表的な制度例

  • 札幌市中小企業支援センターの創業支援
    事業計画の作成支援や資金調達の相談が無料で受けられます。専門家によるサポートも充実しています。
  • 小規模事業者持続化補助金(全国対応)
    販路開拓やホームページ作成、広告費に使える補助金で、札幌の創業者にも人気です。補助率は最大2/3、上限は50万円〜200万円程度。
  • 創業促進補助金(北海道独自の事業)
    札幌市を含む道内で新たに事業を始める起業家を支援するもので、地域の課題解決型ビジネスなどが対象になります。

補助金は公募期間が決まっており、タイミングを逃すと1年近く待つこともあります。札幌市や北海道の公式サイトをこまめにチェックし、応募期間中に準備を整えておきましょう。
また、補助金は基本的に後払いになります。よって、計画されている投資額は一度自社で全額支払う必要があるので、資金繰りには要注意です。


3. 信用保証協会付き融資(制度融資)

銀行からの融資を受ける場合、創業直後は実績がないため断られることも少なくありません。
その際に頼りになるのが北海道信用保証協会の保証付き融資制度です。

仕組み

創業者が銀行からお金を借りる際、保証協会が“保証人”となることで金融機関のリスクを軽減し、融資を受けやすくする仕組みです。
札幌市内の銀行や信用金庫(北洋銀行、北海道銀行、札幌信用金庫など)と連携しているため、地域密着の支援が受けられます。

メリット

  • 銀行からの信頼性が上がり、融資審査に通りやすい
  • 創業期でも利用可能
  • 札幌市内の自治体によっては金利補助制度もあり、実質的な利息負担が軽減される場合も

ただし、制度融資は事業計画書等の提出書類が多く、かつ融資実行までに時間がかかります(概ね2~3か月ほど)。よって、公庫の支店決済ができない金額以上の融資を希望しない場合は、制度融資よりも公庫の創業融資のほうがおすすめです。


4. ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家からの出資

ITやテクノロジー分野で起業する場合は、投資型の資金調達も検討できます。
札幌では「STARTUP CITY SAPPORO」などのスタートアップ支援プログラムが充実しており、ベンチャーキャピタル(VC)や個人投資家(エンジェル)と出会うチャンスがあります。

出資を受ける場合、返済義務はありませんが、その代わりに株式の一部を渡すことになります。
自社のビジョンや成長計画を明確にし、投資家に共感してもらうことが成功のポイントです。


5. クラウドファンディングの活用

最近では、クラウドファンディングを活用する札幌の起業家も増えています。
CAMPFIREやMakuakeなどのプラットフォームで、自社のビジネスや製品を紹介し、共感した支援者から資金を集める仕組みです。

特に飲食店・雑貨店・地域ブランドなど、「札幌らしさ」を前面に出したプロジェクトは全国の支援を受けやすい傾向があります。
資金調達だけでなく、開業前にファンを作るマーケティング効果も大きなメリットです。


6. 自己資金をどう準備するか

どの制度を使うにしても、融資を受ける際には自己資金の準備が不可欠です。
日本政策金融公庫の創業融資では「開業資金の1/10程度は自己資金が望ましい」とされています。
そのため、開業前から少しずつ貯蓄を積み立てたり、副業収入を確保するなど、準備期間を設けることをおすすめします。


まとめ

札幌で起業するときの資金調達方法は、大きく分けて以下の6つです。

  1. 日本政策金融公庫の創業融資
  2. 札幌市・北海道の補助金・助成金制度
  3. 信用保証協会付きの制度融資
  4. ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家からの出資
  5. クラウドファンディング
  6. 自己資金の準備

札幌は行政支援が手厚く、起業家コミュニティも活発です。
最初から大きな資金を用意できなくても、制度を上手に組み合わせることで、リスクを抑えながらスタートを切ることができます。
ぜひ、あなたのビジネスに合った資金調達方法を見つけ、札幌での起業を成功させてください。