
「札幌で事業を始めて数年、売上も伸びてきたし、そろそろ法人化を考えた方がいいのかも…」、そのように感じている個人事業主の方も多いのではないでしょうか?
この記事では、過去100件以上の法人化・法人成りをサポートしてきた税理士の視点から「法人化のベストタイミング」について解説いたします。 個人事業主と法人(株式会社など)の税金や社会保険の違い、札幌市で法人成りを検討する際に押さえておきたいポイント、さらにシミュレーションも交えて、皆さんへ判断材料をご提供します。
関口達也税理士事務所では法人化・法人成りを検討している方向けに、「法人化(法人成り)支援プラン」をご準備しております。割安な価格で法人の設立代行から記帳代行・年末調整法定調書・申告書の作成等の一通りの業務をサポートしているコスパのいいプランとなっているので、法人設立やシミュレーション作成等、「お問い合わせフォーム」よりお気軽にご相談ください。
法人化・法人成りとは?簡単におさらい
「法人化」とは、個人で行っている事業を株式会社や合同会社などの「法人」に変更することです。これを「法人成り」とも言います。
法人になることで、事業主本人と事業が法的に切り離され、税制や社会保険などにさまざまな変化が生まれます。
法人化・法人成りのメリット
- 節税の可能性がある
– 法人税率の方が、所得がある程度を超えると個人の所得税率よりも低くなる
– 給与所得控除を活用できる(役員報酬として支払う)
– 経費計上の範囲が広がる
– 法人独自の節税策がある(社宅活用・旅費日当など) - 社会的信用が高まる
– 銀行融資、取引先との契約などで信用力が上がる - 事業承継や資金調達がしやすくなる
- 節税目的で家族を従業員として雇用しやすくなる
法人化・法人成りのデメリット
- 設立コストと運営コストがかかる
– 登記費用、専門家への報酬、毎年の均等割額(赤字でも最低7万円以上) - 社会保険の強制加入
– 役員報酬を支給する場合、役員も厚生年金と健康保険の加入が必要(保険料が高額になるケースも) - 会計・税務処理が複雑化
– 決算、申告などが個人事業より手間とコストがかかる
年間所得が500万円を超えたら法人化・法人成りを検討しよう
法人化の判断は「所得」で見るのがポイント
法人化の最適なタイミングには明確な「売上ライン」が存在するわけではありませんが、事業の実態に即して「所得(=売上−経費)」でまずは判断するのがポイントです。
個人事業主の所得500万円〜700万円が目安
一般的には年間の所得(売上ではなく利益)が500万円〜700万円以上を超える場合、法人化を検討する価値があります。税率や社会保険料の負担を考慮しても、法人化によるメリットが出てきやすい水準です。
法人独自の節税策が使える方は法人化がおすすめ
個人事業主ではできない、法人独自の節税策がいくつか存在します。
例えば、社宅活用ができれば家賃の最大80%程度が経費計上可能となります。出張がある方であれば、旅費日当の支給で節税可能です。 配偶者が専業主婦(夫)であれば、役員登記することで配偶者へ役員報酬を支給することができます(社保の扶養の範囲内に抑えるのが一般的)。上記のような節税策が使える方であれば、法人化・法人成りによる節税メリットがでやすくなるので、本格検討してみるといいと思います。
信用・取引・資金調達の面でもタイミングを計る
また、取引先から法人化を求められたり、銀行融資などを受ける予定がある場合も、信用力を高める意味で法人化は有効です。
札幌など地方都市の場合でも、同様の水準が一つの目安になります。
シミュレーションで比較してみよう
ここでは、売上1000万円、経費と青色控除を差引した合計所得金額635万円の個人事業主が法人化を検討した場合のシミュレーションを行います。
<前提条件>
- 合計所得金額(売上−経費-青色控除額)635万円
- 住民税率:10%
- 所得税率:累進課税方式に基づき計算
- 国民健康保険料:合計所得金額と家族構成に基づき札幌市の定める金額
- 国民年金:夫婦二人分の保険料
- 月10万円の賃貸マンションに居住中で法人化後は社宅契約とする
- 月5日の日帰り出張があり、法人化後は旅費規程に基づく日当支給開始
- 法人化後は、代表者20.9万円/月、配偶者10万円/月の役員報酬
シミュレーション結果

法人で計上されている「法定福利費」は社会保険料の法人負担額となります。 配偶者の役員報酬額を、年間130万円未満、かつ代表者の年収の半分未満とすることにより、配偶者は社会保険の扶養に入ることができます(=社会保険料0円)。
法人独自の節税策として、法人化後は社宅費用及び旅費日当を経費計上しています。その結果、法人の課税所得は136万円に抑えることができています。 なお、法人の場合、課税所得800万円以下であれば、税率が約23.4%となります。
個人事業主のままでいる場合と法人化した場合のキャッシュフローの比較では各種税金と社会保険料を見ていきます。 画像の黄色部分で、各シミュレーションごとの合計額は水色部分です。黄緑部分が個人事業主の場合と法人化した場合のキャッシュフローの差額となっており、このケースでは約109万円法人化した方が有利であることが分かります。
税引後の利益で109万円を増やすのはそこそこ骨の折れる作業ですが、法人化するだけでここまでの効果を得ることができます。 勿論、このケースでは社宅活用・旅費日当の活用、配偶者への所得分散ができる等、法人化が有利になりやすい条件がありました。 ただ、別のケースでも法人化によるコストメリットがでることが珍しくないので、是非検討してみて下さい。
なお、法人化は短期間のコストメリットだけでなく、
- 将来の節税余地(退職金制度や経費幅の拡大)
- 社会的信用の向上
といった理由から、中長期的には法人化による恩恵が期待できます。特に社会的信用の向上で売上拡大が見込めるのであれば、細かなシミュレーション以前に法人化をしたほうがいいと思われます。
札幌で法人化を考える際のポイント
- 北海道・札幌では地方自治体の創業支援制度が充実していることがあるため、法人設立後の補助金や助成金をチェックする
※個人事業主の開業後5年以内であれば会社設立費用の一部を補助する補助金があります - 札幌法務局、税務署、道税事務所など手続き先を確認する
- 地元の税理士(司法書士が在籍しているとベター)に相談するとスムーズ
まとめ
法人化は節税だけでなく、事業の拡大・信用力向上・資金調達など多くの面で有利になる一方で、社会保険料や運営コストがかかるため、「何となく」ではなく、しっかりとシミュレーションを行い判断することが重要です。
札幌で事業をされている方で、「法人化すべきかどうか迷っている」という方は、まずは信頼できる税理士にご相談ください。現状の数字を基に、最適なタイミングと方法をご提案できるはずです。
関口達也税理士事務所では法人化・法人成りを検討している方向けに、「法人化(法人成り)支援プラン」をご準備しております。割安な価格で法人の設立代行から記帳代行・年末調整法定調書・申告書の作成等の一通りの業務をサポートしているコスパのいいプランとなっているので、法人設立やシミュレーション作成等、「お問い合わせフォーム」よりお気軽にご相談ください。