札幌の起業・開業に特化した税理士が個人事業主の法人化(法人成り)のタイミングについて解説いたします。個人事業の課税売上1000万円以上の方、又は課税所得330万円以上の方は法人化(法人成り)したほうがキャッシュフローを改善することができるかもしれませんので、必見です。

2022年1月17日加筆:2023年10月1日から開始されるインボイス制度の影響で、業種によって法人化(法人成り)後の消費税の免税期間が取りにくくなります。そのため、法人化(法人成り)の検討タイミングにも影響がでているため、当時の記事に赤字で加筆させて頂きました。

法人化(法人成り)を検討する2つのタイミングについて

ある程度売上が増加した個人事業主の方から、法人成りしたほうがいいかというお問い合わせを受けることがあります。法人成りの是非については所得税・住民税・法人税の比較のみならず、社会保険の絡みもでてくるため算定が複雑で、基本的には売上・経費・所得の予想額を基にした比較表を作成することになります。そして、その本格検討をするタイミングは下記の場合を一つの目安にしていただければと思います。

  1. 消費税の課税事業者となるタイミング
  2. 課税所得が330万円(又は500万円)を超えるタイミング

※2022年1月17日加筆:2023年10月1日施行のインボイス制度の影響で、2021年10月1日以降であれば、BtoB(企業向け)の商売については消費税の課税事業者のタイミングはあまり関係なくなりました。そのため、「2.課税所得が330万円(又は500万円)を超えるタイミング」を法人化を検討するタイミングとして頂ければと思います。

法人化の検討①:消費税の課税事業者となるタイミング

 個人事業主の場合、前々年度の課税売上が1000万円を超えると消費税の課税事業者となります。しかし、開業した事業者は前々事業年度がないため、基本的には2事業年度(※例外あり)について消費税の免税事業者となります。これは法人についても同様で、個人事業主で免税期間を2事業年度とり、さらに法人成りすることにより2事業年度消費税の免税事業者となることができます。

 当然、課税売上が大きいほど消費税の免税事業者となるメリットが大きいため、ある程度の規模になってから法人成りしてもよいですが、個人事業主が消費税の課税事業者となるタイミングで一度法人成りを検討されることをおすすめいたします。

※2022年1月17日加筆:2023年10月1日施行のインボイス制度の影響でBtoB(企業向け)の商売では2023年10月1日以降に消費税の免税期間が取りにくくなります。そのため、2021年10月1日以降の会社設立(=法人化)であれば、最後の消費税免税期間2事業年度分を取ることができるため、個人の課税所得が330万円以上であれば法人化(法人成り)してもいいケースが多くなっています。なお、インボイス制度については、「税理士視点からのインボイス制度について」の記事をご参照ください。

※消費税の課税事業者の判定はやや難解です。第1事業年度の上半期の課税売上が1000万円を超え、かつ支払給与額が1000万円を超える場合は第2事業年度であっても消費税の課税事業者となるためご注意ください。法人の場合は事業年度変更により免税期間を長くすることもできますが、ここまでくると税理士に相談されたほうが無難だと思われます。

法人化の検討②:課税所得が330万円(又は500万円)を超えるタイミング

 所得税は累進課税となっており所得が高くなるにつれ税率が増します。課税所得が330万円を超えると所得税率は20%となり、住民税10%が加算され合計30%の税負担となります。法人税は国だけでなく都道府県と市町村の税率もありますが、利益800万円以下の場合、概算税率が約23%であることを考えると、課税所得が330万円を超えると法人のほうがメリットがでそうですが、法人固有の支出も発生するため課税所得330万円ではまだ法人化のメリットがでないこともあります。多くのシミュレーションをしてきた経験則からすると、課税所得500万円を超えた段階で法人成りのメリットがでるケースが多いような気がします。
※法人特有の節税手法等は個別要素が強いので、法人化のベストタイミングはやはり個別にシミュレーションするしかありません。

法人化による節税等の手法について

 下記の条件に合致すれば法人で可能な大きな節税等の手段があります。詳細は「節税等によるCFの最大化」を参照頂ければと思いますが、個人事業主ではできない大きな節税等の手段が法人にはあるのも事実なので、条件に合致する場合は早めに法人成りをシミュレーションしてみてもいいかもしれません。

  • 賃貸物件に居住している → 社宅制度による経費の上乗せ
  • 出張が多い → 旅費規程による経費の上乗せ
  • 社会保険料を削減したい → 役員賞与を利用した削減

法人化シミュレーションをするために必要な知識

 法人成りのシミュレーションはある程度の知識が必要となるため、できれば小規模事業者に精通した税理士に依頼するのがいいと思いますが、もしご自身でやられる場合は最低限下記内容を理解した上で検討されると大きな漏れはなくなります。

  • 国民健康保険料と健康保険料の計算方法
  • 所得税の計算方法
  • 法人税・法人都道府県民税・法人市民税の税率
  • 法人税の均等割額(法人は利益がなくても均等割額を支払う必要があります)
  • 給与所得控除
  • 法人設立費用(合同会社なら10万円、株式会社なら25万円の概算計算でも可)
  • 法人ならではの節税等の額

法人化(法人成り)タイミングの無料相談について@札幌

設立間もないお客様を多く抱えている関口達也税理士事務所では法人化シミュレーションの経験が豊富です。zoomにて無料相談(全国対応)も実施しているため、シミュレーションをご希望の方は「お問い合わせフォーム」よりご依頼ください。