
マイクロ法人の設立は、通常の株式会社設立と基本的な手続きは同じですが、構成員が最小限(通常は1人)であること、事業規模が小さいことを前提に、必要最小限の設計・コストで行う点に特徴があります。 この記事ではマイクロ法人を設立する際の注意点等をまとめています。
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マイクロ法人の事業計画と法人形態の検討
まず、法人設立の目的を明確にします。 節税、社会保険料対策、信用力の向上、事業の分離など、目的に応じて適切な法人形態を選びます。
配偶者へ役員報酬を支給する方であれば、「株式会社」を選ぶのが一般的です。 業務の実態が伴わない場合に備えて、配偶者を役員登記しておくのが無難であり、そのためには株式会社の方が敷居が低いからです。
というのも、合同会社(LLC)の場合、役員=出資者である必要があり、配偶者にも出資してもらう必要があるからです。 将来の潜在的なリスクを回避する上でも、出資者は代表者のみとしておくのが無難です。
マイクロ法人の基本事項を決める
設立にあたり、以下の事項を決める必要があります。
- 会社名(商号):自由に決められますが、他社と混同しないよう注意。
- 本店所在地:自宅やレンタルオフィスでも可
※但し、バーチャルオフィスの場合、レターパック等の受取ができないと一部ネット銀行の口座開設が難しくなります - 事業目的:将来行う可能性のある事業も含めて幅広く設定すると便利
- 資本金:1円から設立可能
※但し、100万円以上でなければ銀行口座開設が難しくなる可能性あり - 発起人:1名でもOK
- 役員構成:代表取締役1名で十分
- 決算月:利益の変動に応じて決算時期を調整できるよう、個人の確定申告と時期がズレる月が好まれます(例:6月末)
定款の作成と認証
株式会社の場合は「定款(ていかん)」という会社の基本規約を作成し、公証人役場で認証を受ける必要があります。
定款作成は自作も可能ですが、司法書士に依頼するとミスが防げます。特に登記の修正には費用が発生するため、専門家のチェックを受けることをおすすめしております。
また、定款を紙で作成すると印紙税(4万円)が必要ですが、電子定款にすれば印紙税は不要になります。 司法書士に電子定款の作成代行を依頼すると印紙代の節約にもなるので、マイクロ法人の設立は司法書士へ依頼するのがおすすめです。
資本金の払込
定款認証後、代表者個人名義の銀行口座に資本金を振り込みます。 振込後、通帳の写しや残高証明を保存しておきます(登記時に必要)。
登記申請(法務局)
定款認証と資本金払込が完了したら、以下の書類をそろえて、会社の本店所在地を管轄する法務局に登記申請します。
- 登記申請書
- 定款の写し
- 取締役の就任承諾書
- 印鑑届出書
- 発起人決定書(資本金に関するもの)
- 払込証明書(または通帳コピー)
- 法人設立届出書(税務署・都道府県・市区町村)
- 青色申告の承認申請書(税務署)
- 源泉所得税の納期の特例の承認申請(役員報酬がある場合)
- 給与支払事務所等の開設届出書(給与支払いがある場合)
登記に必要な登録免許税は最低15万円です。合同会社の場合は6万円と安くなりますが、扶養親族がいる方は株式会社の方がいいかもしれません。
登記完了・法人設立通知
登記申請から1〜2週間程度で登記が完了し、法人が正式に設立されます。 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)や会社の印鑑証明書を取得できるようになります。 これにより、法人名義の銀行口座開設、契約行為、税務手続き、年金事務所で社会保険加入などが行えるようになります。
基本的に謄本が出来上がるまでは法人として行える手続きは少ないので、いつまでに各種手続きが必要か、計画的に進めていきましょう。税理士と顧問契約を行うのも、謄本ができたタイミングが一般的です。
税務署・都道府県・市区町村への届出
法人設立後は、所定の期間内に以下の届け出を行う必要があります。
これらの手続きは設立から1か月以内を目安に提出します。青色申告の申請は設立日から3か月以内または最初の事業年度末日の前日までに提出が必要です。 なお、税理士と顧問契約を締結する方であれば、上記書類は顧問税理士が提出するのが一般的です。
法人銀行口座・会計処理体制の整備
法人名義の銀行口座を開設し、会計処理の体制を整えます。 マイクロ法人とは言え、法人税申告書の作成は複雑で一般の方が作成するのは現実的ではありません。顧問税理士を探すのが一般的です。
また、役員報酬を支給する場合、年金事務所で社会保険(健康保険・厚生年金)への加入手続きが必要となります。
まとめ
マイクロ法人の設立は、個人でも比較的容易に行うことができますが、定款や登記の細かいルール、税務署や自治体への届け出など、見落としやすいポイントも多くあります。 設立後の運営も含めて、専門家のサポートを得ると安心です。
費用を最小限に抑えることは可能ですが、そのぶん自己責任での手続きが増える点も考慮しましょう。事業内容や目的に応じて、最適な法人設計を行うことが成功のカギとなります。
関口達也税理士事務所では社会保険料削減のためのマイクロ法人設立を検討している方向けに、「マイクロ法人支援プラン」をご準備しております。割安な価格で記帳代行・年末調整法定調書・申告書の作成等、マイクロ法人の一通りの業務をサポートしているコスパのいいプランとなっているので、マイクロ法人の設立やシミュレーション作成等、「お問い合わせフォーム」よりお気軽にご相談ください。