突然ですが、2025年4月から雇用保険の大改正があったのはご存じですか?
雇用保険というと失業保険のイメージが強いと思います。
ただ、それ以外にこのようなメリットがあり、今回失業保険以外の給付制度にもありがたい改正が入りました。 最近にしては珍しく、改悪ではなく、ありがたい改正です。
雇用保険の概要
<雇用保険の概要と加入条件>
■雇用保険=失業・休業時に給付金や手当が受けられる制度
■加入条件:次の2つを満たす者
①31日以上雇用されることが見込まれる者
②週の所定労働時間が20時間以上
※学生・公務員は除く
■納付額:労働者負担=賃金の0.55%
⇒例)賃金20万円⇒1100円
雇用保険に加入していると、失業した際や休業した際などに旧風琴や手当を受けることができます。
ぼくも受給したことがありますが、会社を辞めた後に受給できる失業保険がメジャーかもしれません。
雇用保険の加入条件は次の2つを同時に満たす従業員となります。
1つ目、31日以上雇用されることが見込まれるもの。
30日以下の短期間労働者は対象外となります。
2つ目、1週間の所定労働時間が20時間以上であること。 所定労働時間となっているため、突発的に、たまたま20時間を超える労働時間があった程度では雇用保険加入の要件を満たすことはできません。
また、学生や公務員はそもそも雇用保険の対象外となっています。 公務員の場合、突発的な失業リスクが低いからです。
ちなみにその会社の代表者や代表者の親族も雇用保険加入はできません。
次に雇用保険の納付額についてです。 雇用保険加入対象者は毎月の賃金から雇用保険料が天引きされています。 天引した従業員負担の雇用保険料に、会社負担の雇用保険料を加算した金額を会社が従業員の代わりに納付します。

負担割合はこちらの表のようになっています。 その会社の業種によってことなっていますが、大体の企業は上の一般の事業に該当します。
一般の事業の場合、労働者負担は賃金の5.5/1000、それに事業者負担9/1000を加算した金額が雇用保険料として支払われる金額となります。 一般の事業以外の農林水産・清酒製造事業、建設事業の場合、統計上失業リスクが高くなっています。 そのため、雇用保険の料率も一般事業より高くなっているというわけです。
ちなみに雇用保険料の労働者負担額ですが、例えば月20万円の賃金の場合、20万円×5.5/1000で計算します。 この場合、月1100円が労働者負担額となります。 金額としては少額ですね。
で、この保険料に対し、雇用保険で受けられるメリットが幅広く、お得なものが多く、雇用保険はコスパのいい保険と呼ばれています。

こちらの厚生労働省資料に雇用保険による給付金・手当の種類の記載があります。 左下の基本手当から右下の介護休業給付金まで、多種多様です。 こちらの代表的なものだけ簡単解説します。
■雇用保険の代表的なメリット
・基本手当(=失業保険)
・教育訓練給付
・育児休業給付
まずは基本手当、いわゆる失業保険ですね。
<基本手当=失業保険>
■失業保険給付の条件:
・(原則)離職の日以前2年間で雇用保険の加入期間が通算して12か月以上あること
・働く意思があり、ハローワークで求職申込等をしている
■給付額の目安:
月給20万円だった方⇒失業手当13万円/月ほど
■給付日数:
失業保険の給付を受けるためには条件があります。
原則、離職の日以前2年間で雇用保険の加入期間が12か月以上あることが必要です。 通算12か月なので、A社を退職したあとB社に就職しているのであれば、2社の雇用保険加入期間を合算することができます。
その上で、本人に働く意思があり、ハローワークで求職申込等の転職活動をしている実績も必要となります。 給付額はあくまでも目安となりますが、例えば月給20万円であった方であれば、失業手当は月間13万円程度となります。
当然、いつまでももらえるわけではなく、給付日数に上限があります。

こちらの表が通常の場合の給付日数です。 雇用保険の被保険者であった期間が10年未満であれば、年齢に関係なく一律90日です。

ただ、特定事由等に該当すればこちらの表の給付日数となります。 特定事由等とは、例えば勤務先が倒産したとか、リストラにあったとかです。 その他にも残業時間が多かった場合なども該当するので、意外と特定事由に該当する方が多いです。
で、その場合、年齢や被保険者期間に応じて給付日数がかなり長くなっています。 30歳で被保険者期間5年であれば、180日、つまり約6か月です。 けっこう失業保険を受給できる期間が長いですね。
<教育訓練給付>
■リスキリングや資格獲得等のための勉強費用を最大70%国が負担する制度
続いて教育訓練給付です。 こちらはリスキリングや資格獲得等のための勉強費用を最大70%国が負担してくれる制度です。

こちらのように、対象講座はかなり幅広く、役に立つものが多いです。 各種資格試験はもちろん、ITパスポート等も対象となっています。 ぼくも税理士試験講座を受ける際はこの制度を利用しました。
<育児休業給付>
■育休中に給付金支給+社会保険料免除
⇒就業時の約8割の手取り確保
次に育児休業給付です。 こちらはおなじみですね。 育児休業中に、その方のそれまでの賃金に応じて受けられる給付金です。
この期間中は社会保険も免除となるため、実質的に就業時の約8割の手取りが確保できる仕組みとなっています。 同じような仕組みとして、介護休業給付というものも存在しています。
このように、雇用保険は保険料が少ない割に、該当すれば手厚いサポートが受けられる、コスパがいい保険となっています。
雇用保険の大改正内容(2025年4月以降)
<2025年4月以降の改正内容>
■失業保険が受給しやすくなった
①給付制限期間:2か月⇒1か月(一般の場合)
②教育訓練給付金対象講座の受講者は給付制限期間なしへ
(退職前1年前~退職後)
※2025年4月1日以降に退職した人に適用
今年の4月から、段階的に雇用保険に大きな改正が入ります。
まず2025年4月1日改正です。
失業保険が受給しやすくなりました。 まず給付制限期間が2か月から1か月に短縮されました。

こちらの表をご確認頂きたいのですが、実は失業保険は申請すればすぐ受給できる仕組みというわけではありません。 退職後にハローワークで受給資格決定を行い、その後待期期間7日間と給付制限期間を経て、初めて給付日数計算がカウントされます。
この待期期間7日間はハローワーク側の事務手続きの確認期間です。 ハローワークでの受給資格決定時には離職票が必要となるのですが、離職票が退職した会社から送られてくるまでに少し時間がかかります。
なので、退職日から待期期間完了までで1か月はみておいたほうが無難です。
そして、給付制限期間は、就職と退職、失業保険を繰り返し受給する行為を防ぐために設けられています。 で、この給付制限期間が3月以前は2か月間だったんですけど、これが4月から1か月間に短縮されます。 これ、昔はそもそも3か月間だったんですよね。 それが4年ほど前に2か月間になり、今年の4月から1か月間になったので、失業保険の受給がかなりスムーズになりました。
で、4月以降のもう一つの改正が、教育訓練給付金対象講座の受講者はそもそも給付制限期間がなくなるというものです。 教育訓練給付金対象講座は先ほどお見せしたこちらのようなものです。

この対象講座を退職前1年前から退職後の期間で受講していれば、給付制限期間がなくなるということです。 ちなみにこの2つの改正の対象となるのは、2025年4月1日以降に退職した方です。 ハローワークへ申請した日が基準となるわけではないのでご注意ください。
また、ここでお話しした給付制限期間はそもそも一般の方の場合です。 リストラ等の特定事由等に該当する方であれば、そもそも給付制限期間が存在していません。
■2025年10月1日~
・教育訓練休暇給付金
休職(無給)中に教育訓練に専念
⇒賃金の一定割合を支給
※要件:被保険者期間5年以上
・リ・スキリング等教育訓練支援融資
次に2025年10月1日以降の改正内容です。 教育訓練休暇給付金が新たに創設されます。
こちらは教育訓練に専念するために一時的に仕事から離れる際の生活費を支給するものとなります。 支給要件は教育訓練のための無給の休暇を取得できること、雇用保険の被保険者期間が5年以上であることとされています。
会社を辞めてしまうと対象外になるので、教育訓練のための長期の休暇を認めてくれる会社に限定されそうです。 ただ、要件をクリアできれば失業保険と同額の給付を受けることができます。
リスキリングのためのかなり思い切った給付だと思います。
さらにリ・スキリング等教育訓練支援融資制度も新設されます。 こちらはリ・スキリング期間の生活費や教育費の融資制度となっており、一定の条件を満たすと返済の一部が免除されるものとなっています。
■2028年10月~
雇用保険の対象者:週20時間⇒週10時間へ
続いて2028年10月にも大きな改正があります。 雇用保険対象者の拡大で、現行の所定労働時間週20時間以上が、週10時間以上に改正されます。
週10時間となると、ほとんどのパート従業員が雇用保険加入となることが見込まれます。 で、当然雇用保険加入となれば、失業保険の受給が可能になり、リスキリングのための教育訓練給付も受けられるようになります。 雇用保険はコスパのいい保険なので、これらの改正は朗報といっていいと思います。





