6月から定額減税が始まり、7月から調整給付金の支給も開始されます。
ただ、制度がややこしくて自分がどこに該当するのかよく分からない。
得をする方法があるとは聞いているけど、自分は具体的にどうすればいいんだ。
今回の記事はそのような方向けとなっています。
その方の属性に絞ったほうが分かりやすいので、今回の記事は特にパート主婦の方に見て頂きたい内容となっています。 できることなら損をしたくないパート主婦の方、是非ご一読ください。
今回の動画で分かること
- 定額減税と調整給付金の概要
- 調整給付金と定額減税のW取り最適解
- 社会保険の扶養問題
定額減税と調整給付金の概要
まず定額減税と調整給付金の概要についてです。 詳細を知りたいという方は是非「調整給付金と定額減税について」もご視聴ください。
定額減税も調整給付金も、こちらの、物価高に対応する「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」という施策の中の一つとなっています。 合計所得金額1805万円、年収で言えば2000万円以下の方であれば、いずれかの恩恵を受けることができます。 逆に言えば、年収2000万円超の高所得者の方は、今回のご紹介する給付金も定額減税も受けることができません。
ここからは年収2000万円以下の方々が今回受けられる給付金等をご紹介いたします。
住民税非課税世帯の方
まず住民税非課税世帯の方についてみてみましょう。 住民税非課税世帯に該当すれば、給付金を受給できます。
①住民税非課税世帯
→7万円と児童1人あたり5万円の給付金
要件:合計所得金額≦35万円×家族の人数+31万円
→住民税均等割非課税世帯
例)夫婦+子1人 35万円×3人+31万円=136万円 年収で言えば191万円
※札幌市の場合
※受給までの流れ:自治体が対象者に確認書を発送し、それを返送すると受給できる
※全ての自治体で給付完了しているはず
⇒対象者は2023年春に3万円の給付金、2023年秋に7万円の給付金を受給しているはず
金額は7万円の定額プラス18歳以下の児童1人当たり5万円の給付金です。 市区町村により若干数字が変わりますが、住民税非課税世帯はこちらの算式で判定されます。 合計所得金額が35万円×家族の人数+31万円を超えているかどうか、です。
例えば夫婦と子1人の3人世帯の場合、家族の人数は3人になるので、136万円の合計所得金額を超えるかどうか、となります。 これは年収で言えば、191万円となります。 算定が難しいよと感じられるかもしれませんが、お住いの市区町村が勝手に判定してくれるので、別に自分で判定する必要はありません。
受給までの流れは、お住いの市区町村が対象者に給付金の確認書を発送し、対象者の方が返送をすれば受給できる、といったイメージです。 で、この住民税非課税世帯向けの給付金は既に全ての市区町村で給付が完了しているはずです。 2023年春に3万円の給付があり、2023年秋から追加の7万円の給付が開始し、ぼくが把握している限り、2024年5月時点では全ての市区町村で手続きが完了しています。
住民税均等割のみ課税される世帯の方
続いて住民税均等割のみ課税される世帯について。 住民税均等割のみ課税される世帯に対しても給付金が支給されます。
②住民税均等割のみ課税される世帯
→10万円+児童1人あたり5万円の給付金
要件: 合計所得金額≦35万円×家族の人数+42万円
例)夫婦+子1人 35万円×3人+42万円=147万円 年収で言えば202万円
※札幌市の場合
※受給までの流れ:自治体が対象者に確認書を発送し、それを返送すると受給できる
※自治体次第だが、2024年3月頃から申請開始、申請期限5月又は6月
金額は10万円の定額プラス18歳以下の児童1人当たり5万円の給付金です。 市区町村により若干数字が変わりますが、対象者はこちらの算式で判定されます。 合計所得金額が35万円×家族の人数+42万円を超えているかどうか、です。
例えば夫婦と子1人の3人世帯の場合、家族の人数は3人になるので、147万円の合計所得金額を超えるかどうか、となります。 これは年収で言えば、202万円となります。 こちらもお住いの市区町村が勝手に対象者の判定をしてくれるので、自分で計算しなくても大丈夫です。
受給までの流れは、お住いの市区町村が対象者に給付金の確認書を発送し、対象者の方が返送をすれば受給できる、といったイメージです。 給付金の申請期限・支給時期はお住いの市区町村次第となりますが、2024年3月頃から申請が開始され、2024年5月又は6月申請期限とされているケースがほとんどです。 もし自治体から何か書類は来ているけど確認していないという方は、絶対に今すぐ確認してください。 申請期限を過ぎてしまうと受給できなくなってしまうので、十分ご注意ください。
①②に該当しない世帯の方
で、①②に該当しない、住民税・所得税を納付している方が、6月から始まる定額減税の対象者となります。 一応、富裕層は除外するという目的で、2024年の合計所得金額が1805万円以下という制限は加えられています。
③住民税・所得税を納付している方(合計所得金額1805万円以下)
→6月から定額減税の対象
(扶養0人の場合:所得税3万円・住民税1万円)
(扶養2人の場合:所得税9万円・住民税3万円)
ただ、定額減税で控除しきれない方も発生
⇒調整給付金を支給
定額減税額は1人所得税3万円、住民税1万円の合計4万円です。 1人4万円ですので、扶養人数に応じて加算されていきます。 パート主婦の場合、年収103万円超であれば自身で定額減税を受けることができます。 逆に年収103万円以下の場合、その方はこの定額減税においては、ご主人の扶養に入っている状態となります。
ですので、年収103万円以下のパート主婦の方は、ご主人がその分定額減税と調整給付金を受給することになるので、次の章以降の話は関係なくなります。 で、今回の記事で想定している年収103万円超のパート主婦の場合、誰かを扶養しているということはないはずなので、受けられる定額減税は4万円です。
ただ、パートの方で定額減税4万円となると、そもそも年間でそんなに税金納付していないよ、という方も発生します。 というか、次の章でご説明しますが、社会保険の扶養を気にして働かれるパート主婦の方の大半は、定額減税4万円を使い切ることができないはずです。
年間の税金が3万円の方だと、差額の1万円が損になるのか、それを防止する策として該当者には「調整給付金」の支給が決定されています。 調整給付金は、ざっくり控除しきれない1万円が支給される、というイメージです。
調整給付金の受給までの流れは、お住いの市区町村が対象者に給付金の確認書を発送し、対象者の方が返送をすれば受給できる、といったイメージです。 申請期限・支給時期はお住いの市区町村次第となりますが、2024年6月頃から申請が開始され、2024年10月末が申請期限とされる見込みです。 調整給付金についても、ご自身で対象者かどうかの判定は不要となりますが、自治体から来る書類には細心の注意を払っておいてください。 対象者には6月か7月頃に確認書が来るはずです。
年収103万円以下のパート主婦はご主人の扶養に入っているので、ご主人が定額減税を受けることになります! なので、そのケースだとパート主婦本人は定額減税も調整給付金も受給できません
調整給付金と定額減税のW取り最適解
パート主婦の調整給付金と定額減税のW取りの最適解について
ここからは2023年の年収が103万円超だったパート主婦向けのお話しとなります。 2024年ではなく、2023年の年収です。 これ、第1次調整給付金の支給が2023年の所得をベースに行われるからです。 具体的に見ていきましょう。
ケース①、2023年の年収が120万円のパート主婦の場合です。 この方は2023年の年収から、2023年分の所得税が8500円、2024年分の住民税が2万円と計算されます。 で、第1次の調整給付金では、この2023年の年収を基に給付金計算が行われます。 本来の定額減税が所得税3万円、住民税1万円となりますが、それに対し住民税が2万円なのはいいのですが、所得税が8500円で控除しきれません。 控除不足額が21500円となり、この1万円の端数を切り上げた3万円が第1次調整給付金となります。 住民税については、2024年分の住民税2万円に対し、定額減税1万円と、控除可能となります。
なので、2024年7月以降に支給される給与での天引額で減税を受けることができます。
で、ここまでで給付金3万円と住民税の減税1万円、合計4万円の恩恵を受けているのですが、話はここで終わりません。 実は、さらに所得税の定額減税も受けることができます。 調整給付金の計算は2023年の所得をベースに計算しましたが、定額減税の対象はあくまでも2024年分の所得税となるからです。
仮に2024年の年収も120万円だった場合、その方の2024年分の所得税は8500円となります。 で、この方のケースでは、2023年分の所得税計算により調整給付金を受給しておきながら、さらに2024年分の所得税8500円分の定額減税も受けることができます。 なんと2024年分の所得税も0円になるということです。
結果として、調整給付金3万円と定額減税18500円、合計48,500円の恩恵を受けることができるということになります。 定額減税だけで終わってしまう方だと4万円の恩恵だけなので、調整給付金の対象者は端数分何か得した気分になりますね。次のケースではさらに得することができます。
ケース②、2023年の年収が120万円のパート主婦の場合。 ここまで、つまり調整給付金の支給まではケース①と同様です。 第1次調整給付金が3万円、住民税も1万円定額減税を受けます。 で、ケース②では2024年について、業務量を増やして年収が163万円になった想定です。 この場合、2024年分の所得税が3万円となり、元々の所得税の定額減税3万円がそのまま控除できる金額となります。
このケースでも、所得税3万円をそのまま控除していいのか。 結論、OKです。
定額減税により2024年分の所得税が本来の3万円から0円となります。 これだと調整給付金3万円と二重取りじゃないかと思われるかもしれませんが、二重取りしてOKということになっています。 不公平と言えば不公平ですが、政府が第1次調整給付金の支給を優先した結果、このような仕組みとなりました。
結果として、ケース②では調整給付金3万円と定額減税4万円の合計7万円の恩恵が受けられる、ということになります。 定額減税のみの方と比べると、なんと3万円も得をするということになります。 ですので、この章の結論としては、第1次調整給付金を受給できるパート主婦の方は2024年分の所得税が3万円、つまり年収163万円になるまで働いた方がお得、ということになります。
ただ、年収163万円となると社会保険の扶養の問題を気にする方もいると思います。 そのあたりの話を次の章で軽くお話ししたいと思います。
社会保険の扶養問題
社会保険の扶養問題について。 パート主婦が2024年の年収を163万円以上にしようと思うと、社会保険の扶養から外れてしまうのではないかという疑問がでてくると思います。 社会保険の扶養において問題になってくるのは、いわゆる106万円の壁や130万円の壁と呼ばれるものです。 このうち、106万円の壁は従業員数101人以上、の勤務先であれば避けては通れない、つまり年収106万円以上だと社会保険加入が必須となってしまいます。
ここでいう従業員数とはその勤務先の社会保険の被保険者数のことです。 ただ、そもそも調整給付金の対象者は年収103万円超の方なので、この記事の対象者で106万円の壁を気にする方は少ないと思います。 問題は次の130万円の壁です。
年収130万円を超えると社会保険の扶養から外れてしまうという問題です。 こうなると、自分で国民健康保険と国民年金に加入することになり、負担が大きいです。 ただ、この件については2023年10月から緩和措置が設けられました。 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化、と呼ばれるものです。
具体的には、会社都合、例えば繁忙期に労働時間を延ばす等により一時的に収入が上がる場合、事業者がその旨の証明書を発行することにより引き続き扶養に入り続けることができるというものです。 通常の月収は10万円だけど、繁忙期のみ業務量が増えて月収20万円になる、といったイメージです。 これで年収をどこまで増やすことができるかは分かりませんが、年収130万円を絶対視する必要はありません。 社会保険の扶養のままでいるという前提ではありますが、調整給付金・定額減税の恩恵を最大限受けるために、2024年の年収目標を163万円とするのも賢い選択肢かもしれません。
■106万円の壁について
・勤務先の従業員数101人以上なら社保加入必須
■130万円の壁について
・社保の扶養から外れてしまう
・2023年10月~「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」
⇒繁忙期に労働時間を延ばす等により一時的に収入が上がる場合、事業者の証明書によって引き続き扶養に入り続けられる
⇒通常は月収10万円、繁忙期は月収20万円、など